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2013年1月6日日曜日

♯298 2012年映画トップ10

 あけましておめでとうございます。
というより、本ブログにおいては、お久しぶりです。
という挨拶の方が適してるのでしょうか、
というほどに久々の更新です。

今年はくじけず、たまに更新したいものです。
横着な性格は直りそうもありませんが、
またこうやって更新していきます。

 ということで、2012年の映画ベスト10でも。

今年みれた作品は60〜70作品と少ないながら、
そして2012年上映に限らず、今年見た新しめのものでのランキング
となっていますので、ご了承ください。

では、さっそくベスト10からいってみましょう。


10位「ベルフラワー」

(ため息が出る程、クソで最悪でツラくて哀しくて甘くてクールだけど
やっぱりどうしようもない、が故に愛すべき作品for menって感じ。
思えばなかなか理不尽だし、何なんだろって思うけれども、
本作に漂う不快感はもはや痛快であり、
それは僕にとって映画的に大いにプラスに働いた。
なかなか衝撃度の高い作品で、正直このランキングを書いている気分によっては
もっと順位を上げていてもおかしくない作品だった。)



9位「裏切りのサーカス」

(一回見ただけではなかなかディテールは理解できてなかった。
たくさんの情報を濃密に押し込み、見る方はもう大変でした。
一時も目を離せませんし、なかなか頭も混乱するけど、
最終的には合点がいく。それでも、それでも面白いしかっこいい。
見れば見るほど、本作の評価は上がるだろう。
実に完成度の高い、スマートなサスペンスだった。
トム・ハーディは旬である。)


8位「アウトレイジ ビヨンド」

(とはいえ、本作は、前作と合わせてこの順位になる。
テンポ良い喋くりというか罵り合い展開かと思ったら違った。
そんな中、たけしと中野が花菱会を訪れた時の
中野、たけしと塩見三省、西田敏行のかけ合いは震えるほどに興奮した。
それだけでもファンの僕からすれば星4つは妥当といえる。
ガタガタ言わねぇで黙って見やがれバカ野郎、って感じなんです。)


7位「DRIVE」

(冒頭の運転シーンで心掴まれたらもう止まらないですね。
このカーチェイスシーンは必見です。これなんです!!
そしてキスシーンももはや伝説的といっても良い位の印象でした。
というこの2点だけでも本作はもはや至高。
ニコラス•ウィンディング•レフン監督のこれ以上ない名刺変わりとなる作品です。)


6位「50/50 フィフティ・フィフティ」

(ガン克服に関するストーリーをコメディタッチで描いているのですが、
その軽快さが実に素晴らしい。ただし、この予告編ではそのうまいバランスが
いまいち伝わらないなと感じます。まずは鑑賞してみてください。
ジョセフゴードンレヴィットの抑えた演技とエモーショナルの爆発の
シーンなんかはもう僕は唸ってましたね。素晴らしいです。
好きすぎて今年で3回は鑑賞しました)


5位「ヒミズ」

(ヒミズという人気原作をどう調理するか。
園子温監督の作家性はどう転ぶか。
そんな監督の用意した染谷氏と二階堂氏2人の主演は、
見事にこのエネルギーそのものとなった。
震災を絡めた描写とラストシーンの描写が、
非常に多くの賛否の嵐となったわけだが、
僕はとても、とても心を突き動かされた。
ラストのメッセージには、涙さえした。
「今描く原作ヒミズを通した映画ヒミズ」は、これしかない)


4位「悪の教典」


(伊藤英明あっぱれですね。彼の評価はこれでまたうなぎのぼり!
はすみん!はすみん!まさに適役でした。
人物背景の深部に立ち入ることはなかったけど、殺戮で魅せまくりました。
悪く捉えられれば、内容は薄いとか言われそうですね。
中盤以降、それでも僕はずっとひきつけられてました。
とにかく人を殺しまくります。そんな殺す時も映画自体は軽快で、
サイコパスの人の殺す時の心理ってまさにそんな感じなのかな、
とか思うとゾッとしますね。あまりに軽快過ぎて本当に面白かった。
けれど、不快な人はとことん不快にさせる作品でもあります)


3位「おおかみこどもの雨と雪」


(文句なしに素晴らしかった。ディテールへのツッコミ多数だが、
余計なツッコミをいちいち入れるのは本作においてアホらしい。
その姿にその思いに純粋に感動しよう。
何度も観たいシーンはたくさんあったし、
その地にそのシーンに見事にハマり引き立てる音楽。
大人も子供も勇気だけでなく、色んなことを考えるきっかけを与える
大事な作品なんじゃないかと思います。
至高とも言えるシーンの数々、本当に美しい。
何度も何度も泣ける。特別、映画として盛り上がる場面っていうのは、
用意されていないにもかかわらず、こんなにも涙が流れてきてしまうとは。。
肯定されまくったまさにアニメならではのファンタジーストーリーは、
こんなにも平和で心清らかになるのか、と。大好きです。)


2位「桐島、部活やめるってよ」


(2012年、もっとも話題になった作品はこれでしょう。
本当に作品として最高でした。DVD購入しますよね、こりゃ。
ここまであの学生時代特有の行動、心理を描くことで、
観ている人々の心をえぐりまくる作品はなかなか無いでしょう。
それゆえに人に語りたくなり、うおぉ!とか思いながら思い返してみたり。。
大団円のシーンや大後寿々花の目線の演技、
とにかく隅から隅まで素晴らしかったんです。
最高の完成度をもった作品でした。
本作はそしてたくさんの視点を有していますね。
あなたは誰の視点だったでしょうか?
「出来る奴は何でもできるし、できない奴は何にもできないってだけの話だろ」
学生時代にこれを悟ることの実に寂しく悲しいことよ。
ただただ好きなことに夢中であることの輝かしいことよ。
とにかく、見て感じて語り合いたい作品でした。)


1位「この空の花 長岡花火物語」


(もはやこの作品の価値というのは、
1位とかそういうレベルの話ではない。
独特なカットと演出、セリフ回しの連続。
そしてクライマックスにおいて無意識にとめどなく流れる大量の涙。
大林監督も言うように、本作には大量の涙が流れるような
装置がたくさん用意されているわけだ。
震災以後に生まれた奇跡的な作品といえます。
もう、本当にこんな映画体験はない、と言い切れるほどの鑑賞でした。
のちにDVDとなり、また多くの人に愛されていくことでしょうが、
本作は映画館で見て大輪の花を咲かせる作品だと思う。
上映館数はさほど多くはなかったので、それでも多くの人にみてもらいたい。
大林監督、ありがとうございました。)


以上でした。


補足的に時点をさらっと挙げて、終わります。

「ブロンソン」
「人生はビギナーズ」
「ヤング≒アダルト」
「アーティスト」
「宇宙人ポール」

といったところでしょうか。
トップ10からこの次点までは、どれも好きな作品といえますね。
お暇な時にでもこれを参考にしてDVD鑑賞してみてください。

それでは。

2012年8月7日火曜日

♯297 7月映画鑑賞まとめ

7月の鑑賞メーター
観たビデオの数:8本
観た鑑賞時間:967分

おおかみこどもの雨と雪おおかみこどもの雨と雪
★★★★★  文句なしに素晴らしかった。余計なツッコミをいちいち入れるのは本作においてアホらしい。その姿にその思いに純粋に感動しよう。何度も観たいシーンはたくさんあるし、その地にそのシーンに見事にハマり引き立てる音楽。大人も子供も勇気だけでなく、色んなことを考えるきっかけを与える大事な作品なんじゃないかと思います。
鑑賞日:07月25日 監督:細田守
恋の罪 [DVD]恋の罪 [DVD]
鑑賞日:07月23日 監督:園子温
ヘルタースケルターヘルタースケルター
★★★☆☆  写真的な意味では魅せる部分はあったものの映画として物語としては物足りなさを感じずにはいられなかった。沢尻エリカはでも本当に可愛かった。民放でどうせ放送されないと思うからぜひ劇場で観ても、沢尻エリカ目的それだけであれば大きな損はないと思う。それ程彼女は本作では輝いてたんじゃないかな。ただ映画そのものとしてはやはり物足りず、どこか迫力と疾走感に欠けていた。僕なら園監督の恋の罪を観た方がいいんじゃない?と言ってしまうと思います。
鑑賞日:07月22日 監督:蜷川実花
サマーウォーズ [DVD]サマーウォーズ [DVD]
鑑賞日:07月20日 監督:細田守
50/50 フィフティ・フィフティ [DVD]50/50 フィフティ・フィフティ [DVD]
★★★★☆ 劇場に続きレンタル始まったので2度目の鑑賞。やっぱり大好きだこの作品。ジョセフゴードンレヴィットの抑えた演技とエモーショナルの爆発、セスローゲンのキャラ(やっぱり大好き!!)、アナケンドリックのキュートさ、最高のバランスだなぁ。
鑑賞日:07月19日 監督:ジョナサン・レヴィン
リアル・スティール DVD+ブルーレイセット [Blu-ray]リアル・スティール DVD+ブルーレイセット [Blu-ray]
★★★☆☆
鑑賞日:07月06日 監督:ショーン・レヴィ
アントキノイノチ DVD スタンダード・エディション [DVD]アントキノイノチ DVD スタンダード・エディション [DVD]
★★☆☆☆
鑑賞日:07月05日 監督:瀬々敬久
ラースと、その彼女 (特別編) [DVD]ラースと、その彼女 (特別編) [DVD]
鑑賞日:07月01日 監督:クレイグ・ギレスピー

鑑賞メーター

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

タンブラーもよろしく


2012年7月29日日曜日

♯295 おおかみこどもの雨と雪


2012年 日本
監督 細田守


あらすじ  
人間の姿をしていながらもおおかみおとこという正体を
持つ男(声:大沢たかお)と出会った大学生の花(声:宮崎あおい)。
二人は惹かれあい、やがて子どもを授かる。
姉の雪と弟の雨は、人間とおおかみのふたつの顔を持つ、
おおかみこどもだった。
都会の片隅で正体を隠しながらつつましやかに暮らす4人は、
幸せそのものだった。しかしある日、父が死んでしまい、
幸せな日々に終止符が打たれた。
おおかみこどものきょうだいを抱えた花は、
豊かな自然の残る田舎に移住することを決意する。」(goo 映画より転載)



ということで、久々の更新です。
サボってました。長文を書く余力がありませんでした。
すみません。。

ってことで、観てきました。おおかみこども。
近年連続ヒットを飛ばし、要注目であった細田作品。
観劇前から期待値が上がるのは当然でした。
そしてそこを見事に飛び越えてくるあたり、
もはや完敗でございます。。

おおかみおとこ、という狼と人間という
ふたつのレイヤーを通したことは、
今回より一層我々に投げかけたものを
強力にさせる働きをもっていたと思います。

一見ファンタジーな設定でありながら、
やってること、言ってることは、
とことん我々の共感できるところにある。


男と女の愛、親と子の愛、そして別離。
それらは2つのレイヤーが噛むことで、
僕らが抱く感情がさらに重厚になった。


それらに加え、うまかったのが、
サマーウォーズでは特にわかりやすかった、
ここで泣ける!盛り上がる!
という「アゲ」の場面を、
今回はあえて引いたところだった。

激しい起伏に客を巻き込むことなく、
己のリズムで淡々と進む作品の中で、
我々が勝手に共感し泣く、という構図だ。
考えてみれば実に挑戦的なものだ。
それでいて多くに共感し、共鳴し、
すっかり涙ぐむ僕らといったら、まぁ素直。
たしかに突っ込もうと思えば突っ込める場所は、
いくつもあるけれど、ディティールに突っ込むのは
本作において何かアホらしく思えた。

ホント、本作はそれほどストレートに、
僕らに色んなものを投げかけてきてくれた。
作品が客に対して、本当に真摯だった。

その真摯な姿に屈する僕らは、
そこで何度でも観たいと思わせられる
シーンをたくさん見せてもらった。
僕も観終えたばかりだけど、
またすぐ劇場に駆けつけたいし、
DVD買いたいし、地上波でも録画するし、みたいな。

手に取るように、何かにつけて
僕らは各シーンを選び思い出すだろう。
それほど、僕らにシーンは溶け込んだのだ。

そんな、僕らの心にフィルムを刻んだ本作だが、
高木正勝が担当した音楽の力も実に絶大だった。
シーンそれぞれの背中を、
時には押し、時にはそっと包んでいた。

本作に関わるスタッフ・キャストは、
細田作品の常連含め、実に豪華であった。
細田氏は本作の核となる部分は、
終始強力に持ち続けたことで、
表現すべきものは実に周囲のスタッフとしても
実に明確であったんだろう。

そんな一致した方向性は、
ストレートに僕らに飛び込んできてくれたわけだ。
ぜひ、劇場でこの夏に体験して欲しい、
作品だった。ぜひ。

ネタバレせずに気持ちをぶちまけようと頑張って書きました(笑)

2012年3月24日土曜日

♯290 CUT


2011年 日本
監督 アミール・ナデリ
出演 西島秀俊、常盤貴子ほか


あらすじ
「売れない映画監督・秀二(西島秀俊)の作品が
映画館で上映されることはなかったが、
彼は映画への情熱を持ち続けていた。
そんな折、兄が借金のトラブルで亡くなったことを知った秀二は、
彼の映画資金調達のため兄がやくざの世界で
借金していたことを知る。兄の死に対する自責の念から、
秀二は殴られ屋をすることで借金を返済しようとするが……。」


この画像にある通り「映画のために死ね」とは、
とても強烈な言葉です。

昨今の娯楽一辺倒である映画界に、
一石を投じるこの作品。
それはスタッフ、出演者関係なく、
映画への愛を丸々体現した作品だった。
これが、映画愛そのものだった。

かつて数年前に笑っていいともに西島が
出演したことをなぜか(というか大ファンだからか)
覚えていたのだが、確かそこで暇があれば映画館に
通っているということを話していた記憶がある。

そのときから、僕は西島の映画に対する想いと、
そのイケメン具合に悔しいがファンとなり
(とはいえ最初に彼のファンになったのは、
映画「海でのはなし」だったと思う。
んまぁ、ファンとしては若輩者です。)、
それが一気にこの作品への爆発的な期待感となった。

加えて監督はアミール・ナデリ。
詳細は知らなかったが、どうやら相当な映画狂のようだ。
イランから映画への自由のために亡命したという。

本作の中において、世界の103本の映画が挙げられる。
そして西島は何度も言う。

「映画は真に娯楽であり、芸術である」
「映画は売春ではありません。映画は芸術です。
我々は映画を尊敬するべきです。」

また、アミール・ナデリは言う。
「・・・今、私たちが観ることができる素晴らしい映画たちは
素晴らしき過去の映画があったからこそ作りだされた
ものだからです。これは「CUT」に込めたメッセージの
ひとつでもあります」

「若い世代は『単なるエンターテインメント映画』を好みます。
彼らの嗜好はビジネス街で決められているのです。
この状況には変化が必要です。
秀二(=主人公、西島)の行動と本作は
現在の映画業界に対する小さな抵抗です」


本作は、西島=秀二=アミール・ナデリと言える。
汚れた映画界に対する抵抗が丸々作品になっている。
年代を問わず様々に挙げられる映画作品。
それは映画に対する愛なのか固執なのか、
それは観る者が判断すれば良いだろう。

本音を言えば、僕としては、
エンターテインメント映画すら愛したい。
業界が汚れているのかという実情は知らない。
だが、「真なる作品」が生まれない状況は、
あってはならない事態である。

そのためには、鵜呑みできない情報と
己の「感覚」だけが頼りなのだが、
そういったことを再確認させる、
ひいては映画への未来についてを、
西島が一発一発殴られる様とともに
我々に語りかけた本作は、
なんとも言えない後味のある作品であった。


予告編


2012年3月18日日曜日

♯287 50/50 フィフティ・フィフティ


2011年 アメリカ
監督 ジョナサン・レヴィン
出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット、セス・ローゲン

あらすじ

「普通の青年アダムは、ある日突然、ガンを宣告される。
その生存確率は50%で、その事実を告げた途端、
周りの人間の態度が一変してしまう。
しかし、親友のカイルだけは
今までと同じように接してくれ、アダムは
“ガン“を笑い飛ばして日々を過ごそうとするが……。」
ぴあより引用


ということで本日観てきました。
シネマディクトのくせに、今日はやけに人が入ってる、
なんて思ったら、およそ同時刻から、
「しあわせのパン」の上映があったわけですね。
原田知世主演の田舎でカフェみたいなのやる作品
だったかな。どうりで30代以上の女性が多かったわけ。

ってことは置いといて、ですね。
僕は当然この作品を気にせずにはいられませんでした。
主演の彼は、言わずもがな、
僕が最高峰に好きな作品「(500日)のサマー」の
彼ですね。上の画像見てピンと来た人も多いかな。
そして助演がセス・ローゲン。
「宇宙人ポール」や「グリーン・ホーネット」で
おなじみでこちらも僕が大好きな方です。

というこの2人、、ということは、、、
そう、これが本作の1番良いところで、
ガンを扱うと言えども決して重々しいドラマにはならず、
コメディを多分に盛り込んでくるあたりが、
最良のテンポを作品にもたらしています。

ヒューマンコメディ、ラブコメディの要素を
うまく散りばめながらも、
ただ軽いだけにならなかったのが、
素晴らしいところ。

タイトルに書かれているとおり、
生存確率は半々。
それを占う手術が行われる前夜、
今までどんなに落ち着いているように
振舞ってきた主人公も、
さすがに感情が爆発してしまう。
その爆発した瞬間、
淡々と映画を楽しんでいた僕の感情も
思わず爆発し、涙が出た。

その前後の主人公と親友のやりとり。
いっけんバカであるかのようなその親友の
彼への想いや主人公の家族、そして恋。。。

本作の脚本家による実話がベースということもあり、
こうした模様をきっちり見せてくれ、
そしてセス・ローゲンマジックと言えば良いのか、
お馬鹿でエロな要素も多分に盛り込まれ、
泣き笑いできる、本当に良い作品でした。

※※ 映画監督エドガー・ライトの恋人である、
アナ・ケンドリックが作中でどんどん可愛く見えてくる。
主人公のように、最終的には
皆さんも恋に落ちているかもしれません。(体験談)


予告編

♯286 ひゃくはち


けっこう前に、ツイッターでさらっと、
この作品マジでイイとつぶやいてはおりましたが、
最近もう一度見たのでここに改めて書いておこうかと。

2008年 日本
監督 森義隆
出演 斎藤嘉樹、中村蒼ほか


監督の森氏は、「宇宙兄弟」がこれから控えてますね。
「ひゃくはち」を見た人なら、
「宇宙兄弟」には当然期待せずにはいられませんね。

さて、本作ですが、
野球をやってきた人だけでなく、
何かに熱く己を捧げたことのある人なら、
誰しも共感できるものではないかなと思います。

また野球映画と言えども、
切り口がありそうでなかった補欠への視点。
あったとしても、かつて高校球児であった僕が、
あぁたしかに、と思わせる作品はなかったかもしれません。

大所帯の野球部でどう生き残るか。
不謹慎な話、ライバルが死んだって大怪我したって、
蹴落としてでも、それでも背番号が欲しい。

そこに至るまでにも、
仲間と経験した色んな思い出だってある。
仲間であるに違いないのだけれど、
ライバルであるにも、違いない。
そんな葛藤が存分に描かれ、
見てる側の涙を誘う。

背番号をもらえるか、試合に出られるか、
それが全てだし、そのために高校3年間を費やしてきた。
補欠で背番号をもらえるかどうかの瀬戸際に立つ、
主人公の2人。彼らが費やし、積み上げてきたものが、
作品を通じて十分に伝わるからこそ、
見てるこちらも彼らの悲しさや喜びがわかる。

なんだろう。その彼らの無邪気な笑顔や
怒り、涙。様々な表情と感情が、
伝わり、自分でもわかるのが不思議と嬉しいのだ。
何か嬉しい、と作品を見ながら不思議と思わせる
本作、すげぇ。。

とりあえず、な気持ちでも良いので、
まず見てみましょう。
そして、「宇宙兄弟」を待とうではないか。


予告編


※※ 高良健吾もこの作品に出ているんだけど、
熱くて天才で仲間想いで女好きな奴なんだけど、
市原隼人主演のボクシング映画「ボックス」
においてそれとけっこう真逆なキャラを演じていて、
あぁ、俺、高良健吾に青春を魅せられてるわぁ、
と感じたこともここに一応記しておきます。
暇があったら「ボックス」も見てみてね。

ボックス!


2012年2月26日日曜日

♯279 ヒミズ(映画)


2011年 日本
監督 園子温
出演 染谷将太、二階堂ふみほか

頑張れ、という言葉が耳から離れない。
作品において被災地を通し、
この言葉が投げかけられる。

頑張れ、という言葉は、
簡単に発せられる単語であり、
よく耳にする言葉であり、
もしかしたらその単語の力が軽薄に
なっている感も日常では、うん、あるんじゃないかな。

しかし、本作を通し、
それははたまた今の僕の心情と一致したが故なのか、
とてもとても心に響いた。

原作がある作品なので、
ラストを変えたことは多くの批判もあるし、
人が演技しているので、
原作とのキャラに多少の相違が生じるのは、
もちろんそれはわかった上のことだとも思う。

映画において大事なのは、
そういうことじゃないと思う。
原作を大事にしながらも、
映画として素晴らしいものに昇華できていれば、
僕はそれで良いと思うし、
本作はその点で僕は及第点を与えてよいと思っている。

染谷将太、二階堂ふみという若く、
そして将来を期待せずにはいられない、
演技力というより、発せられるエネルギーは、
無論、本作に必要不可欠であり、
ラストへの作品のエモーションとなっているのは間違いないし、
それを引き出した監督の手腕は、
見事と言わずにはいられません。

園作品を通して1番の傑作か、
と言われれば即座にうなづくことは、
僕にはできないが、
魅力は多分に含まれているし、
(人それぞれ様々な意味において)希望を見出してくれる
作品だとも思えるし、
作品を見るだけで、賛否様々な感想を
抱かせてくれるものと思う。
だから観ようよ。

予告編

2012年2月3日金曜日

♯278 映画(映画)

レンタルしたものは勝手に、
私的に100点満点で点数付けちゃいます。
75点超えてたらオススメだと思ってくだされば。


・127時間

監督 ダニー・ボイル
出演 ジェームズ・フランコほか

80点

予告編




・浅草キッドの浅草キッド

監督 篠崎誠
出演 水道橋博士ほか

65点

予告編



・劇場版 神聖かまってちゃん

監督 入江悠
出演 二階堂ふみほか

75点

予告編




・あぜ道のダンディ

監督 石井裕也
出演 光石研ほか

75点

予告編




・シティ・オブ・ドッグス

監督 ディート・モンティエル
出演 ロバート・ダウニーJrほか

85点

2012年1月5日木曜日

♯277 恋の罪(映画)


2011年 日本
監督 園子温
出演 水野美紀、冨樫真ほか


あらすじ

どしゃぶりの雨が降りしきる中、
ラブホテル街のアパートで女の死体が発見される。
事件担当する女刑事・和子(水野美紀)は、
仕事と幸せな家庭を持つにもかかわらず、
愛人との関係を断てないでいた。
謎の猟奇殺人事件を追ううちに、
大学のエリート助教授・美津子(冨樫真)と、
人気小説家を夫に持つ清楚で献身的な主婦・いずみ(神楽坂恵)
の驚くべき秘密に触れ引き込まれていく和子。
事件の裏に浮かび上がる真実とは……。
3人の女たちの行き着く果て、
誰も観たことのない愛の地獄が始まる……。」




 ということです。
今や作品出すたび注目の園子温監督。

 前作「冷たい熱帯魚」での圧倒ぶりから、
期待値あがりまくりの本作でした。


 潔癖とも思える夫を持ついずみ。
献身的という表現は極限的とも言える。

「久しぶりに僕のチンチン触ってみるか?」
「いいんですか?」
「どうだ?」
「嬉しいです!」

 夫婦の交わりはこれ以上はない。
何かしたい!そんないずみはパートを始める。
そしてひょんな誘いから騙し騙され、
ヌードを撮られ、絡んだ男と寝る。

 何かが吹っ切れたかのように、
いや、吹っ切るように、家に戻り、
一人鏡の前に素っ裸で立ち、

「いらっしゃいませ!試食いかがですか?
おいしいですよ!」

とパートで発するセリフを連呼する。
延々と、連呼する。
声のボリュームがどんどん上がる。

この過剰なまでの繰り返し連呼シーンは、
何と、現場での監督とのアドリブだそうだ。
いやぁ、恐れ入る。。。

 渋谷円山町で一人の女性と出会う。
その女が美律子である。

 普段は大学で教鞭をとる美律子は、
夜は男からお金をとって体を許しているのだ。
金に困っているわけでもない。
ただ愛を求めて、愛の「意味」を求めてさまよっているのだ。

 いずみと美律子は愛を求めるという意味で、
同じ括りにあるとされる。

 和子が最初に立ち入った事件現場には、
「城」という文字が残されている。

 この「城」とはつまり迷宮的な意味合いを持つ。
つまり愛というものの意味を追うその行為は、
城の周りをグルグルまわっているだけなのだ、と。

 愛とは?
そのためにどんどん自己を貶める女たち。

 
 田村隆一の詩が本作を照らし続ける。

「言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかにたちどまる」

 言葉とその意味というものが無ければ、
「愛」というものに悩むことなどなかった。

 その意味を追い、
どこまでも馬鹿正直に追い続け、
体を交え、声高らかにセックスし、
その先にあるものは・・・。


 迫真という言葉だけでは物足りない。
各俳優の限界を突破した演技なくして、
本作は成立し得ない。

 エンターテイメントであり、詩的であった。
160分という時間がとても短く感じた。
最高にスリリングな本作、確実にオススメです。


言葉なんかおぼえるんじゃなかった


予告編


2011年12月26日月曜日

♯275 2011私的映画ランク(映画)

ということで、勝手にこっそりと・・・。

2011年上映というか、
2011年にみた作品ということで。。。

このブログで書けたものから、
タイミングが合わず書けてないものまで。。

ということで、

10位 「スプライス」
(トラウマに残るような作品でした。
インパクト大でした。)

9位 「キッズ・オールライト」
(ツッコミどころも満載だけど、
全体として悪くないんじゃないかな)

8位 「ザ・ファイター」
(クリスチャン・ベールかっこいいし、
その他キャラクターも実話と思えぬほど濃い)

7位 「冷たい熱帯魚」
(衝撃とテンポの良さと、
正直言うとこないほどのオリジナリティ)

6位 「マネーボール」
(ブラピもそうだけど、
なによりジョナ・ヒルありがとう。
ていうか単純に素晴らしい作品。
野球だけどこってりじゃなくあっさりです)

5位 「ブルーバレンタイン」
(愛する人が離れていく本作では、
トラウマになる人続出。
ハマる人はガッツリはまるはず)

4位 「英国王のスピーチ」
(抑え目だけど、良い作品です。
イギリスだから成し得る作品です。)

3位 「X-MEN-ファーストジェネレーション」
(シリーズを見たことなかった僕ですら、
胸が熱くなった作品です。ぜひ)

2位 「ソーシャルネットワーク」
(あのラストが今でも忘れられません。
あのラストとそのためのストーリーで、
そりゃ2位になっちゃいますよ。
いやいやキャストに最高の脚本に、
もう最高のグルーヴ。

1位 「スプリング・フィーバー」
(1位が2010年の作品ですみません。
だけど、これがなによりも後味をひきすぎて。。
がっつり空虚になってください。)


次点 
「その街のこども 劇場版」
「阪急電車」


あっさりしたコメントともにベスト10でした。
また来年も映画にお世話になります。

2011年12月21日水曜日

♯274 キッズ・オールライト(映画)


2010年 アメリカ
監督 リサ・チェンデンコ
出演 アネット・ベニング、ジュリアン・ムーアほか

あらすじ

18歳のジョニ(ミア・ワシコウスカ)は、
自分の母親ニック(アネット・ベニング)、
同じ父親を持つ15歳の弟・レイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)、
そしてレイザーの母親ジュールス(ジュリアン・ムーア)の4人暮らし。
ママ二人と姉弟という家族で、仲良く、
楽しく愛情に満ちた生活を送っている。
しかし、大学進学のための一人暮らしを機にジョニは、
まだ会ったことのない自分たちの医学上の父親・ポール(マーク・ラファロ)に
興味を持ち、レイザーと共にこっそり会いに行くことに。
オーガニックレストランを経営し、
気ままな独身生活をするポールに親しみを感じた二人。
しかし、ニックとジュールスにもポールのことがばれたことから、
家族に少し異変が起き始める……。」




 気になってたんだけど、見れてなかった作品。
OPからVampire weekend「Cousins」で、
ちょっと、おっ!ってなりました。






 設定は、母2人とその子ども2人の4人暮らし。
母の2人はつまりは同性愛。
腹違いの2人の子どもは、
精子ドナーの(つまりは医学上の父親)男に会い、
そこからの家族ドラマ、という感じですね。


 男に会うたび子供たちは親しみを感じる。
一方、ニックとの関係に不満を感じたジュールスは、
その男と会ううち、関係を結んでしまう。


 女同士の同性愛なんですが、
いわゆる浮気の発見の着眼点が、
やはり女性目線なんですね。
そこが何か興味深かったですね。


 基本はユーモアなので、
同性愛とかそういうテーマを重く見ず、
いわゆる家族モノとして楽しむと良いでしょう。


 面白いんだけど、
でもやっぱりあの男が何か可哀想でした。
もう5人で暮らしちゃいなよ、
とか思っちゃったりもしたわけでした。


 でも面白いですよ。


予告



2011年11月26日土曜日

♯270 ザ・ファイター


2010年 アメリカ
監督 デヴィッド・O・ラッセル
出演 マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベールほか


あらすじ

アメリカ、マサチューセッツ州。
低所得者の労働者階級が暮らす寂れた街、ローウェル。
兄ディッキーは、一度は天才ボクサーとして
スポットライトを浴びたもののドラッグで身を持ち崩してしまい、
今ではあのシュガー・レイ・レナードからダウンを奪った
というかつての栄光にしがみつくだけの荒んだ日々を送っていた。
一方、対照的な性格の弟ミッキーもボクサーとして活躍するが、
自分勝手な兄とマネージャーでありながらマッチメイクに
無頓着な母アリスに振り回され連敗続き。
ミッキーの新たな恋人シャーリーンは、
悪影響ばかりの家族から離れるべきだとミッキーを説得するが…。」




 ということで、ザ・ファイターです。
ボクシングを通した家族や人との関わりを描いてます。
ちなみに実話をもとに作られてます。


 もう傍から見たら、
この家族、荒み過ぎってくらい荒みすぎてます。
兄は兄でドラッグ中毒で何度も刑務所行き。
母はまるで弟よりも兄な上、
自分のマネージャーとしての位置に強いこだわりを持つし、
とにかく人それぞれが自分しか見てないんですね(笑)


 やっぱり全員が「その人」に集中し、
その人を心から支援・応援することで、
それが大きな力に変わっていくもので、
人間関係の力ってのを感じましたね。
そしてそれを儲けとしたいなら、
その人に自分を託さなくてはいけないんですね。


 弟ミッキーの想いからどんどん人と人が繋がり、
みんなが一丸となっていき、それが力となり感動となる。
そんなことを学んだ映画でした。


 クリスチャン・ベール、かっこいいよ!
エンディングで実際の兄弟が出てくるんですが、
クリスチャン・ベールがいかに頑張ったかが、
本当に納得できると思いますね。


予告編





2011年11月14日月曜日

♯269 マネーボール(映画)

2011年 アメリカ
監督 ベネット・ミラー
出演 ブラッド・ピット、ジョナ・ヒルほか

あらすじ
メジャーリーガーから球団経営者に転職した実在の人物、ビリー・ビーン。
彼は強豪球団の三分の一しか年棒が払えないという球団の弱点を
カバーするため、2002年に「マネーボール理論」を導入。
これまでのやり方にしがみつこうとする抵抗勢力に迎合する事なく
チームの変革を成し遂げ、公式戦20連勝という記録を打ち立てた。
本作では、自分の信念を貫きチームを変革していくビリー・ビーンを、
ブラッド・ピットが力強く演じている。
元野球選手たちが選手役で出演しているだけあって、
試合シーンはリアリティたっぷり。
普段は見られない球場の裏側が多く見られるのも、
ファンにはたまらない。監督を務めたのは、『カポーティ』のベネット・ミラー。」




 ということで観てきましたよ!話題だし、野球だし、
ブラピですし!(ファイトクラブ大好きなんです)


 ということでまず「マネーボール理論」について学んでみましょう。
こちらです。

 貧乏球団VS金持ち球団というわかりやすい構図ながら、
実話を基にしているという点とそのミラクル具合は、
もう胸を熱くせざるを得ませんね。

 自分もかつてはドラフト1位の選手であり、
しかし結果を出せず表舞台から去ることとなり、
スカウト等を経て、若くしてGMとなる彼だが、
己の信念を貫くあまり、
やり方が非常に強引・傲慢にうつるが、
それはあくまで彼が目指したもの、
そのものだけを彼が夢見て追っていた証拠ですね。

 奇跡にはとても胸が熱くなる。
しかし、この話の素晴らしきところは、
それはでも不完全であるということ。

 不完全であるけれども、
それでも己を信じ、現在でも夢を追う姿、
そしてそれまでで得た彼の教訓こそが、
この作品の持つ素晴らしきパワーなのであろう。

 熱さとともに、ふむふむと何かを得て、
劇場を出るその感覚は爽快でした。

 
予告編


2011年10月18日火曜日

♯267 モテキ(映画)


2011 日本
原作 久保ミツロウ
監督 大根 仁
出演 森山未來、長澤まさみほか


あらすじ


藤本幸世(31歳)。金なし夢なし彼女なし。
派遣社員を卒業し、ニュースサイトのライター職として
新しい生活を踏み出そうとしているが、
結局のところ新しい出会いも無いまま。
だが、ある日突然、「モテキ」が訪れた!みゆき、るみ子、愛、素子。
まったくタイプの異なる4人の美女の間で揺れ動く幸世。
「こんなのはじめてだ…今まで出会った女の子と全然違う…
冷静になれっ!…期待しちゃダメだぁ…」
モテキの波を超えて、幸世は本当の恋愛にたどり着けるのか?」




ということで観てきました!話題のモテキ!
ネットでもラジオでも友達にも、
もう色んなところから情報が入りまくりでしたが。。


ドラマ、漫画もチェックしております。
ドラマは本当に良かったなぁ。。


いやぁ、とにかく森山未來のポテンシャルには、
やはり驚かされました。
歌って踊れて、演技派で。。
今年「その街のこども」をチェックして2作目なんですが、
どんどん好きになりますね。


そして長澤まさみとのセカチュー以来の、
ゴールデンタッグ!!
大人になりましたねぇ。。
胸は揉むわ、ディープキスはするわで・・・
時は流れてるんですね。


個人的にツボだったの麻生久美子です。
重くて痛い女を演じたわけですが、
演じれば演じるほど、可愛い。。
泣きじゃくって思いの丈を叫ぶところ、
牛丼を食べるところ・・・
あぁ思い出すだけで胸が熱くなりますね。


というように、森山未來を囲む、
女優4人も実にイイ味出してます。


そしてそしてハッとさせられる音楽の数々。
ライブシーンもたくさんあって、
ホント音楽と密接している作品です。
最後に今夜はブギーバックの歌いだしが
流れた時には、ちょっと胸がキュっときましたね。


ストーリーはほどほどですが、
映画としてエンターテイメントとして、
結構楽しめましたよ。観て良かった!




予告編



2011年8月30日火曜日

♯262 ザ・レスラー(映画)




2008年 アメリカ
監督 ダーレン・アロノフスキー
出演 ミッキー・ローク、マリサ・トメイほか

あらすじ

「かつては人気を極めたものの
今では落ち目のレスラー、ランディ(ミッキー・ローク)。
ある日、ステロイドの副作用のために心臓発作を起こし、
レスラー生命を絶たれてしまう。
家族とはうまくいかずストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)
にも振られ、孤独に打ちひしがれる中で、
ランディは再びリングに上がる決意をする。」


 ということで、今日は「ザ・レスラー」
再起、というこの物語同様、
「かつてのスター」ミッキー・ロークにとっても
再起作となったのが本作であり、
話題となったのも記憶に新しいですね。

 レスラー一筋で流行とは無関係で、
色々センスの悪さを露呈する普段のランディは、
「かつての」時代から時間が止まっているかの
様子をうかがうことができ、
また落ち目のレスラー業とともにスーパーでバイトをしており、
その様子も一層「かつての」や「落ち目の」という
感じを思わせる。この姿をミッキー・ローク本人と
重ねた人も多いだろうし、そういう見方をしなくても、
十分に感じ、楽しめる作品である。

 そんなランディは、歳を重ねても、
どんなに落ち目になってもリングに上がり続ける。
殴り殴られ、体に無数の傷を負い、多くの血を流し。
そんなとある日、薬の副作用で、
レスラー生命が絶たれるわけだが、
その時、レスラー一筋で生きてきたランディは、
どのようになっていくのか。これが見どころです。

 再就職という簡単な道が待っているわけでもなく、
今のバイトをするしかない。
また疎遠となっていた娘に会いに行き、
うまく関係を築けそうになっても、
頓挫し、もうホントその姿はやるせない。

 ランディはストリッパーであるキャシディのもとへ、
よく息抜きに行き、気の知れた関係である。
そしてレスラー引退を機に彼女のもとへ言い寄るものの、
彼女に振られてしまう。

 そうこうランディは自分の生きる道を悩みながら、
時はそういったものと無関係に経ていく。
娘とも結局うまくいかず、女にも振られる。
彼に残ったものは何か。
何もない。そう思うのが現実的だ。

 だが、ランディは違った。
まだ彼には少なくともファンがいるのだ。
そして彼の心の奥の中心にはプロレスがあるのだ。

 彼は、再びリングに上がる決意をした。
キャシディにそれを告げ、リングへ向かう。
もうストリッパーとしても落ち目だった彼女も、
彼を、そして9つになる息子のことをより意識した。
彼がリングへ向かう直前、
彼のパートナーになってもいいわよ、
と質問を投げかける。

 それでも、それでもランディはリングへ向かった。
彼にとって、やはり中心は金でも、女でも、家族でもなかった、
なかった、というより、できなかった。
不器用過ぎる生き方だろう。
しかし、何か命を賭してでも、
一つの事をやり続ける姿のかっこよさを
ランディはミッキー・ロークは、
まさに体を張って示したのだ。

 この作品を見て、熱くならないわけがないのだ。

予告編





2011年8月27日土曜日

♯261 リトル・ミス・サンシャイン(映画)


 
2006年 アメリカ
監督 ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
出演 グレッグ・キニア、トニ・コレットほか


あらすじ
「アリゾナに住む小太りなメガネ少女・オリーヴの夢は、
ビューティー・クィーンになる事。
コンテストのビデオを研究したり、大好きなおじいちゃん指導の元、
ダンスを特訓したりと訓練に余念がない。
そんな彼女の元に、朗報が舞い込む。
カリフォルニアで行われる
“リトル・ミス・サンシャイン”コンテストに
繰り上げ参加が決定したのだ!問題だらけのフーヴァー家は、
家族6人ミニバスに乗り込み、一路コンテスト会場を目指すが…?!」


 過剰なまでに「勝ち組」を意識する父親(実際勝ち組じゃない)、
色弱で目指すものを失っている長男、
ゲイのおじさんは失恋の上、仕事でもガタガタ、
おじいさんはヘロイン中毒、
というトンデモ家族に囲まれる少女は、
ミスコンに夢中。

 そんな家族が、ミスコン会場へ向かう珍道中を
描いたのが本作となるわけなんですが、
この珍道中がまた面白い面白い!

 ユーモアセンスがなんて絶妙なんでしょう!
それでいて、トンデモ家族のみんなも、
ケンカやハプニングを繰り返しながらも、
実に愛に溢れていて、おもわず笑い泣きしてしまう
素晴らしい作品となっております。
人気があるのもうなずける!!

 少女の見た目も実に愛らしい。
これでミスコン!?というほどのポッチャリ具合と
眼鏡姿が本作のコミカルベースに実にハマる!!

 見ていて時間が過ぎるのをまったく感じさせない
リズムとセンスに溢れる泣き笑い。
押すとこは押すし引くとこは引いてますし。

 あとアメリカ色がすごいです。
んまぁ珍道中ものは、えてしてアメリカなんですが、
随所にみられるアメリカ色は、
たとえ悲しみが背景にあっても、
ポジティブにさせる不思議なものがありますね。

 ということで、おススメです。
みんな見たことあるかもしれないけど、おススメです。

 とにかく楽しい。
ホント、最低な人たちだし、
絶対設定的にあぁはなりたくないけど、
あのように大きな愛とみんなで泣き笑える、
家族という形は、最高だよね。

最低で最高です。

予告編





2011年8月16日火曜日

♯260 冷たい熱帯魚(映画)


 

2010年 日本
監督 園子温
出演 吹越満、でんでん、黒沢あすかほか


「死別した前妻の娘と現在の妻。
その折り合いの悪い二人に挟まれながらも、
主人公の社本信行は小さな熱帯魚店を営んでいた。
波風の立たないよう静かに暮らす小市民的気質の社本。
だが、家族の確執に向き合わない彼の態度は、
ついに娘の万引きを招く。スーパーでの万引き発覚に
窮地に陥る社本だったが、そんな彼を救ったのは
スーパー店長の友人の村田だった。村田の懇願により
店長は万引きを許す。さらに大型熱帯魚店を経営する村田は、
娘をバイトとして雇い入れる。その親切さと人の良さそうな男に誘われて、
社本と村田夫婦との交流が始まる。しばらくして、
利益の大きい高級魚の取引を持ちかけられる社本。
それが、村田の悪逆非道な「ビジネス」を知り、
同時に引き返せなくなる顛末への引き金となった。」


 ということでようやく見ることができました。
大変期待していた本作でしたが、
青森の上映は大変微妙な時期と期間であり、
僕は劇場に足を運ぶことができず、
ひたすらDVDの登場を待ちわびていたのでした。

 園子温ワールドは映画ファンの多くの方は、
「愛のむきだし」ですでに体感されているかと思いますし、
まだ見ていない方にもぜひにとオススメできる作品です。

 そんな期待を抱かせざるを得ないような作品の後の本作ですから、
ハードルは高いものがあったでしょう。しかし、
それを上回る評価を多くの地域・映画祭で得たのですから、
その時点で説得力がありますね。

 さて、本作ですが、
完全ノンフィクションというわけではないのですが、
実際に起こった事件がベースとなっております。

 異常性の高いその事件、
人間を透明にする、という行為、
つまり人を完全にバラバラにし、
無きものとするその残忍性、
というそのもの自体は見ることを拒絶させるものだが、
それをエンターテイメント作品へと昇華させる
園子温の手腕たるや、もはや恐ろしい。

 また不穏な空気というものが、
作品を通してずっと流れているこの空気感、
そして性とユーモアと怒りや悲しみ。
様々な感情の交錯も、どれも取り逃がさないように
包み込みながらも、壊れることのない、
なおかつこちらをどんどん吸い寄せるリズム感。
どれをとっても監督のオリジナリティと
スペシャリティのそれに依拠する部分も大きい。

 キャスト陣がこれまたベテランの演技派を、
主に見えるところに常に置いてるところも、
本作においてとてもハマった部分であるところだと思うし、
んまぁ、演技派というより芸達者、
と言った方が間違いじゃないのかもしれませんが。

 そんな、怪演を見事にやってのけた、
でんでんのインタビュー動画はこちら

 ということで、お腹いっぱいの見事な快作でした。
劇中には突き刺さる表情、セリフ、演出など
非常に多くのものが盛り込まれていて、
どこまで狂気を描いてもエンターテイメントに
帰結するという、もうこちらもお手上げの作品。

 「人生ってのは痛いんだよ」
映画を見ていたら、このセリフが耳に焼きつかないはずがない!
あれやこれやもここで納得!

 痛みという感覚こそ生。生を教える父。
生は、有限なのだ。


予告編





2011年6月15日水曜日

♯258 スプリング・フィーバー(映画)


 

2009年 中国、フランス

監督 ロウ・イエ
出演 チン・ハオほか


あらすじ

「現代の中国・南京。
女性教師リン・シュエ(ジャン・ジャーチー)は、
夫ワン・ピン(ウー・ウェイ)の浮気を疑っている。
リンに調査を依頼された探偵ルオ・ハイタオ(チェン・スーチョン)は、
その相手がジャン・チョン(チン・ハオ)という
青年であることを突き止める。リンとワンの夫婦関係は破綻し、
ワンとジャンの関係も冷え込んでいく。
一方、ジャンとルオは惹かれあっていった。
ジャンとルオと、ルオの恋人リー・ジン(タン・ジュオ)
という奇妙な関係の3人は、宿遷へ旅に出る。」



 2010年に上映され、本作を観た人は口々に賞賛していた。
上映館数が少なく、私の県では当然上映されませんでした。
そんな2011年のある時に本作に久々にめぐり合い、
何の躊躇もなく、本作を見てみました。

 ロウ監督は映画の製作を停止される処分の最中、
この作品をデジカメで撮りあげました。
また、本作は男女5人の群像が描かれていますが、
その中には同性愛のシーンもあります。
しかし、中国では同性愛はタブー視されているという側面もあり、
本作は非常に挑戦的な作品でありました。

 冒頭から男性同士による性交シーンという強烈さ。
リアルで激しく、欲望のままに。

 異性との愛、同性との愛、
平行線に進むこれらの線(=愛)が交わる時、果たして・・・

 という点が軸だと思うのですが、
その人間模様はどうしてだろうか、
ブレなどが生じるデジカメというアイテムが見事に、
作品に大きなプラスの要因となって働いていた。

 また俳優陣を尊重する監督のスタイルもあってか、
劇中での様々な感情を見事に捉えていた。

 大まかに言えば、
中盤まではごくごく淡々としている。
しかし中盤以降は、私にとって生涯忘れられないんじゃないか、
という程のものが心にずっとひっかかっているのであった。

 様々に破綻する関係とともに、
始まる三人での旅。やはりそこでのカラオケシーンは、
強く印象に残ったものである。

 愛というものは何か。
異性、同性。愛はそれらを超越するのか。
愛というものは自由なのか。

 次々とそして深々と
投げつけられるそれらの命題は、
僕の心に大きな何かを残していったのは間違いない。

 強い欲望と渇望にまみえる絶望は、
一体何を生んだのだろう。
小さな答えを自分なりに感じ取れた気がした。

 こんなに映画を見て余韻を引きづるのはいつぶりだろう。
忘れられないし、忘れたくない。
おそらく幾度となく、私は本作を見ることになるであろう。



予告編





2011年3月28日月曜日

♯252 ビジターQ(映画)

 うわぁ、だいぶ更新が滞りました。
何で更新しなかったのかは自分でもわかりません。
ホント「うわぁ、やっちゃったなぁ」
と反省しているだけです。





2001年 日本
監督 三池崇史
出演 遠藤憲一 内田春菊ほか


とにかく、すこぶる変態的映画を見たと思いました。
ある意味、AVよりもエロいんじゃないでしょうか。
エロい、というより変態性を帯びた、という方が正しいか。

いや、とにかく物凄かったです。
変態性をここで説明するのがもったいないです。
とにかくこのカルト的名作は必見。
ジャケも見ての通りかっこいいでしょ?

三池さんのキャリアはこれだから
ホント、面白いですね。


ぜひぜひご覧になって確かめてみては。
エログロに寛容な方には、おすすめです。

とまぁ、無論それをひきたてる
演者の素晴らしい演技がそこにはあった、
ということもここに書き記しておかなくてはいけませんね。


視聴






 

2011年2月14日月曜日

♯243 たまの映画(映画)




2010 日本
監督 今泉力哉
出演 たま



あらすじ

「1990年、空前のバンドブームを巻き起こした
アマチュアバンド発掘番組“イカ天”に出場するや、
その強烈なキャラクターとコアなファンに止まらない
幅広い層にも訴える力を持った音楽性で注目を集め、
メジャーデビューシングル『さよなら人類』が大ヒットを記録、
一躍スターダムに躍り出たバンド“たま”。
本作は、周囲の環境の激変に翻弄されながらもマイペースを貫き、
メンバーの脱退、解散を経たいまも、
それぞれに自分の音楽と向き合い活動を続ける
元メンバーたちの姿を見つめた音楽ドキュメンタリー。」



 ということで「たまの映画」です。
「あしたのジョー」にお客さんは流れ、僕一人でした。
一人で、良かったです。


 さて、たまというバンドは本作でも語られているが、
実に誤解の多いバンドであった、と。
確かに見た目のインパクトが強烈過ぎた。
確かに音楽性も独特であった。

 しかし、それはメインストリームという基準にほかならない。
彼らがスターダムに駆け上がり、
同じメインストリームという舞台上で比較されるものだから、
仕方がない、といえば仕方がないわけだ。
それでもあくまでマイペースなのが「たま」なのだ。
「さよなら人類」で発揮された、
唯一無二の一つの作品性は、
それでも「たまの一部」でしかないのだ。

 解散後のメンバーそれぞれの活動が映し出される。
石川さんと知久さんが思い出を振り返りながら街を歩く。
高円寺界隈が中心で僕が住んでたところも映ってたな(笑)

 そんな中、この作品には柳本さんだけは出演していない。
出演許可がおりなかったようである。
まことに残念、という思いもあるが、
出演していたら、この作品は、
また全く違う作品に仕上がっていたことであろう。

 自由に活動している彼らの音楽と、
バンドの思い出を振り返りながら進む映画。
そこでパスカルズの演奏が流れる。
怒涛の演奏とその姿に、
過去のたまの姿が投影され、思わず涙がこみ上げる。

 柳本さんの脱退は、それはそれはたまに大きな影響を与えた。
メンバーみんなが口をそろえて言った。
特に知久さんが悔しそうだった。

「あの人とのコーラスが最強だったんだ」


エンディングでの知久さんの歌は、
その言葉と、過去のたま、そして現在のメンバーを
見事に包括するような、どっと涙が出そうになる曲でした。


 過去のマイペースと今のマイペースは異なる。
されど、みんなそれぞれ今でも音楽をやり続けている。
きっとそれが励みになっているんだろうな。
マイペースにまたたまが復活するかもしれないし、
このままマイペースに・・・いーや、キリがない。

 何にせよ、そこには出会いがあり、別れがあった。
その間に数々の作品が残った。
ファンの思い出とたまによる思い出。
そんな「思い出」と「未来」が詰まった、
非常にハートフルな作品でした。
ごちそうさまです。


予告編