2011年12月26日月曜日

♯275 2011私的映画ランク(映画)

ということで、勝手にこっそりと・・・。

2011年上映というか、
2011年にみた作品ということで。。。

このブログで書けたものから、
タイミングが合わず書けてないものまで。。

ということで、

10位 「スプライス」
(トラウマに残るような作品でした。
インパクト大でした。)

9位 「キッズ・オールライト」
(ツッコミどころも満載だけど、
全体として悪くないんじゃないかな)

8位 「ザ・ファイター」
(クリスチャン・ベールかっこいいし、
その他キャラクターも実話と思えぬほど濃い)

7位 「冷たい熱帯魚」
(衝撃とテンポの良さと、
正直言うとこないほどのオリジナリティ)

6位 「マネーボール」
(ブラピもそうだけど、
なによりジョナ・ヒルありがとう。
ていうか単純に素晴らしい作品。
野球だけどこってりじゃなくあっさりです)

5位 「ブルーバレンタイン」
(愛する人が離れていく本作では、
トラウマになる人続出。
ハマる人はガッツリはまるはず)

4位 「英国王のスピーチ」
(抑え目だけど、良い作品です。
イギリスだから成し得る作品です。)

3位 「X-MEN-ファーストジェネレーション」
(シリーズを見たことなかった僕ですら、
胸が熱くなった作品です。ぜひ)

2位 「ソーシャルネットワーク」
(あのラストが今でも忘れられません。
あのラストとそのためのストーリーで、
そりゃ2位になっちゃいますよ。
いやいやキャストに最高の脚本に、
もう最高のグルーヴ。

1位 「スプリング・フィーバー」
(1位が2010年の作品ですみません。
だけど、これがなによりも後味をひきすぎて。。
がっつり空虚になってください。)


次点 
「その街のこども 劇場版」
「阪急電車」


あっさりしたコメントともにベスト10でした。
また来年も映画にお世話になります。

2011年12月21日水曜日

♯274 キッズ・オールライト(映画)


2010年 アメリカ
監督 リサ・チェンデンコ
出演 アネット・ベニング、ジュリアン・ムーアほか

あらすじ

18歳のジョニ(ミア・ワシコウスカ)は、
自分の母親ニック(アネット・ベニング)、
同じ父親を持つ15歳の弟・レイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)、
そしてレイザーの母親ジュールス(ジュリアン・ムーア)の4人暮らし。
ママ二人と姉弟という家族で、仲良く、
楽しく愛情に満ちた生活を送っている。
しかし、大学進学のための一人暮らしを機にジョニは、
まだ会ったことのない自分たちの医学上の父親・ポール(マーク・ラファロ)に
興味を持ち、レイザーと共にこっそり会いに行くことに。
オーガニックレストランを経営し、
気ままな独身生活をするポールに親しみを感じた二人。
しかし、ニックとジュールスにもポールのことがばれたことから、
家族に少し異変が起き始める……。」




 気になってたんだけど、見れてなかった作品。
OPからVampire weekend「Cousins」で、
ちょっと、おっ!ってなりました。






 設定は、母2人とその子ども2人の4人暮らし。
母の2人はつまりは同性愛。
腹違いの2人の子どもは、
精子ドナーの(つまりは医学上の父親)男に会い、
そこからの家族ドラマ、という感じですね。


 男に会うたび子供たちは親しみを感じる。
一方、ニックとの関係に不満を感じたジュールスは、
その男と会ううち、関係を結んでしまう。


 女同士の同性愛なんですが、
いわゆる浮気の発見の着眼点が、
やはり女性目線なんですね。
そこが何か興味深かったですね。


 基本はユーモアなので、
同性愛とかそういうテーマを重く見ず、
いわゆる家族モノとして楽しむと良いでしょう。


 面白いんだけど、
でもやっぱりあの男が何か可哀想でした。
もう5人で暮らしちゃいなよ、
とか思っちゃったりもしたわけでした。


 でも面白いですよ。


予告



2011年12月7日水曜日

♯273 漫画


原作・山上たつひこ
作画・いがらしみきお


1巻がつい先日発売され、話題になり、
あぁ読みたいなぁ、と思っていたのですが、
ようやく読むことができました。


かつて凶悪犯罪を犯した11人の元受刑者を、
地方都市で極秘に受け入れ、
一般人とともに生活させる、というお話。


極秘計画を知るのは市長含め3人。
それゆえ、市民にバレぬようヒヤヒヤしながら
彼らを見届けなければいけないこの3人。


いつ何をしでかすのか、市民にバレないか、
その元受刑者の犯した残虐な犯罪の描写を
交えながら話が進むので、
読むこちらもとてもヒヤヒヤさせられます。


そしてまた犯罪描写もなかなか残虐で、
より一層この作品に緊張感をもたらします。


なにはともあれ、作品として実に面白い!
とても続きが気になる作品です。






原作・浅田次郎
漫画・ながやす巧




こちらも先日、第3巻が発売されました。
これはもう1巻発売時から大ファンで、
というかもう原作から傑作ですので、
そして漫画はながやす先生なので、
当然期待大だったわけで、
そんな期待に見事にこたえてくれたので、
僕は一瞬でこの作品のファンになっていたわけです。


南部藩出身で新撰組に属した吉村貫一郎を描く本作。
貧乏の出で、剣は強く、頭も良い。
そして愛する妻に子。
銭にはなによりもの執念があった。


不器用さでありながら、
何よりも愛する者に一途であり、
その懸命さと執念は、
人間離れしているようにも思えるし、
ともすれば人間味に溢れすぎてもいる。


キャラクターとしては実に描きがいがあるだろう。
それを料理するのはながやす巧。
最高の話に最高の画。
贅沢極まりないこの作品を見逃さないわけにはいきませんよ。







2011年11月28日月曜日

♯272 音楽動画まとめ


小沢健二 - ある光
(後世に残る名曲だしね!)




at nagi vol.1 「New Song」 
(王舟プレゼンツ。最高に平和な音楽)




白い汽笛 - レゲエ 
(何かほっこりくる曲。ホントいい曲)




WU LYF - SPITTING BLOOD
(フジにも出演したマンチェスターのバンド。良い)




Emmy The Great - Paper Forest (In The Afterglow Of Rapture)
(この曲大好きなんだよなー)




The Embassadors - Dagaz Eterna
(ダブはやっぱりたまに恋しくなる)




Maximilian Hecker- Snow White
(ドイツの逸材中の逸材!)




Federico Durand - Pudu, tu nombre es Tobias?
(アルゼンチンはいいアーティストい過ぎ!)



2011年11月26日土曜日

♯271 音楽動画まとめ

たまりにたまってるのでツイッターであげた動画を
またまとめて挙げていきます。


・杏窪彌 (アンアミン) / 夏天 (シャーテン)DEMOver. 
(相対性理論的な台湾からのものです)

Akron/Family So it Goes (Official Video)
(フリーフォークの中でもけっこう好きな彼ら。良曲なり)


・The Leisure Society /A Matter Of Time(Live)

(美的です。こちらも良曲)


Baths 'Aminals' (LIVE)
(Bathsは見てるだけでも楽しい。風貌が愛らしい。
でもかっこいいから腹立つ!)


Cloud Nothings "Understand At All" 
(パワーポップ的で久々な感覚でちょっとしびれた)


 Jonas Alaska - In The Backseat
(こういうのってズルい。いい曲にしか聞こえないもん)


HAPPY BIRTHDAY『しゃかいのごみのうた』23才の女子編
(何気に嫌いじゃないんだよね)


SPECIAL OTHERS - Stay
(もうここ1ヵ月で100回はこれ聞いてる。
一番のおすすめ!爆音で大画面でどうぞ!!)


♯270 ザ・ファイター


2010年 アメリカ
監督 デヴィッド・O・ラッセル
出演 マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベールほか


あらすじ

アメリカ、マサチューセッツ州。
低所得者の労働者階級が暮らす寂れた街、ローウェル。
兄ディッキーは、一度は天才ボクサーとして
スポットライトを浴びたもののドラッグで身を持ち崩してしまい、
今ではあのシュガー・レイ・レナードからダウンを奪った
というかつての栄光にしがみつくだけの荒んだ日々を送っていた。
一方、対照的な性格の弟ミッキーもボクサーとして活躍するが、
自分勝手な兄とマネージャーでありながらマッチメイクに
無頓着な母アリスに振り回され連敗続き。
ミッキーの新たな恋人シャーリーンは、
悪影響ばかりの家族から離れるべきだとミッキーを説得するが…。」




 ということで、ザ・ファイターです。
ボクシングを通した家族や人との関わりを描いてます。
ちなみに実話をもとに作られてます。


 もう傍から見たら、
この家族、荒み過ぎってくらい荒みすぎてます。
兄は兄でドラッグ中毒で何度も刑務所行き。
母はまるで弟よりも兄な上、
自分のマネージャーとしての位置に強いこだわりを持つし、
とにかく人それぞれが自分しか見てないんですね(笑)


 やっぱり全員が「その人」に集中し、
その人を心から支援・応援することで、
それが大きな力に変わっていくもので、
人間関係の力ってのを感じましたね。
そしてそれを儲けとしたいなら、
その人に自分を託さなくてはいけないんですね。


 弟ミッキーの想いからどんどん人と人が繋がり、
みんなが一丸となっていき、それが力となり感動となる。
そんなことを学んだ映画でした。


 クリスチャン・ベール、かっこいいよ!
エンディングで実際の兄弟が出てくるんですが、
クリスチャン・ベールがいかに頑張ったかが、
本当に納得できると思いますね。


予告編





2011年11月14日月曜日

♯269 マネーボール(映画)

2011年 アメリカ
監督 ベネット・ミラー
出演 ブラッド・ピット、ジョナ・ヒルほか

あらすじ
メジャーリーガーから球団経営者に転職した実在の人物、ビリー・ビーン。
彼は強豪球団の三分の一しか年棒が払えないという球団の弱点を
カバーするため、2002年に「マネーボール理論」を導入。
これまでのやり方にしがみつこうとする抵抗勢力に迎合する事なく
チームの変革を成し遂げ、公式戦20連勝という記録を打ち立てた。
本作では、自分の信念を貫きチームを変革していくビリー・ビーンを、
ブラッド・ピットが力強く演じている。
元野球選手たちが選手役で出演しているだけあって、
試合シーンはリアリティたっぷり。
普段は見られない球場の裏側が多く見られるのも、
ファンにはたまらない。監督を務めたのは、『カポーティ』のベネット・ミラー。」




 ということで観てきましたよ!話題だし、野球だし、
ブラピですし!(ファイトクラブ大好きなんです)


 ということでまず「マネーボール理論」について学んでみましょう。
こちらです。

 貧乏球団VS金持ち球団というわかりやすい構図ながら、
実話を基にしているという点とそのミラクル具合は、
もう胸を熱くせざるを得ませんね。

 自分もかつてはドラフト1位の選手であり、
しかし結果を出せず表舞台から去ることとなり、
スカウト等を経て、若くしてGMとなる彼だが、
己の信念を貫くあまり、
やり方が非常に強引・傲慢にうつるが、
それはあくまで彼が目指したもの、
そのものだけを彼が夢見て追っていた証拠ですね。

 奇跡にはとても胸が熱くなる。
しかし、この話の素晴らしきところは、
それはでも不完全であるということ。

 不完全であるけれども、
それでも己を信じ、現在でも夢を追う姿、
そしてそれまでで得た彼の教訓こそが、
この作品の持つ素晴らしきパワーなのであろう。

 熱さとともに、ふむふむと何かを得て、
劇場を出るその感覚は爽快でした。

 
予告編


2011年10月25日火曜日

♯268 ふむふむキセル(雑記)



キセルのアルバム「SUKIMA MUSICS」。
この作品の中の「ヒカリミチテ」という曲がある。
約1分30秒のこの曲だが、
この短さゆえに、歌詞・メロディがすんなり僕に入ってくる。
そのうち、もう僕に付きまとって仕方がなくなった。


「華やかな毎日を 夢見たこともあったけれど

二度とは巡ってこない 今日の日が今は愛しい

それは切ない祈りにも似て人は その手を空に差しのべる

雨上がり 雲の切れ間に 

奇跡のような 日差しがのぞく

あなたと二人歩いて行く

たとえ道は険しくても」


この短い歌詞にこんなにも希望を詰め込むだなんて
もうやっぱりキセルが大好きなわけです。



2011年10月18日火曜日

♯267 モテキ(映画)


2011 日本
原作 久保ミツロウ
監督 大根 仁
出演 森山未來、長澤まさみほか


あらすじ


藤本幸世(31歳)。金なし夢なし彼女なし。
派遣社員を卒業し、ニュースサイトのライター職として
新しい生活を踏み出そうとしているが、
結局のところ新しい出会いも無いまま。
だが、ある日突然、「モテキ」が訪れた!みゆき、るみ子、愛、素子。
まったくタイプの異なる4人の美女の間で揺れ動く幸世。
「こんなのはじめてだ…今まで出会った女の子と全然違う…
冷静になれっ!…期待しちゃダメだぁ…」
モテキの波を超えて、幸世は本当の恋愛にたどり着けるのか?」




ということで観てきました!話題のモテキ!
ネットでもラジオでも友達にも、
もう色んなところから情報が入りまくりでしたが。。


ドラマ、漫画もチェックしております。
ドラマは本当に良かったなぁ。。


いやぁ、とにかく森山未來のポテンシャルには、
やはり驚かされました。
歌って踊れて、演技派で。。
今年「その街のこども」をチェックして2作目なんですが、
どんどん好きになりますね。


そして長澤まさみとのセカチュー以来の、
ゴールデンタッグ!!
大人になりましたねぇ。。
胸は揉むわ、ディープキスはするわで・・・
時は流れてるんですね。


個人的にツボだったの麻生久美子です。
重くて痛い女を演じたわけですが、
演じれば演じるほど、可愛い。。
泣きじゃくって思いの丈を叫ぶところ、
牛丼を食べるところ・・・
あぁ思い出すだけで胸が熱くなりますね。


というように、森山未來を囲む、
女優4人も実にイイ味出してます。


そしてそしてハッとさせられる音楽の数々。
ライブシーンもたくさんあって、
ホント音楽と密接している作品です。
最後に今夜はブギーバックの歌いだしが
流れた時には、ちょっと胸がキュっときましたね。


ストーリーはほどほどですが、
映画としてエンターテイメントとして、
結構楽しめましたよ。観て良かった!




予告編



2011年10月12日水曜日

♯266 想い出あずかります(文学)

吉野万理子著 2011


あらすじ


「嬉しいのに涙が出て、傷ついても信じてみたい。
自分にそんな感情があることを、初めて知って驚いた。
こんなに大事な想い出を、人は忘れてしまうもの? 
ううん、忘れ去るなんて、きっとしない。
見えなくて触れないからこそ大事だって、分かってる。
人間って侮れないんだよ――。きらきらと胸を打つ、大人のための長編小説。」




想い出質屋という店がある。
20歳まで利用できるお店だ。
子供たちはそこに様々な想い出をあずけに訪れる。
母との想い出や友との想い出。
何気ないものから、その子供としての、その瞬間にとって、
とてもとても大事な、それが何か運命の分け目となるんじゃないか、
という想い出。


想い出をあずけることで、それは、お金になるかわりにその想い出は消える。
想い出をあずける、という行為を読者として客観視することで、
恋やイジメ、家族という様々なものとの向き合い方を見ることができる。


質屋を営むのは魔法使いである。
魔法使いではあるが、決してメルヘンすぎることのないのが本作の良い点の一つであろう。
ことのほか、淡々と話は進み、かつ、面白い。


ひたすら人間の想い出や悩みを聞いてきた魔女。
人間と違い、寿命がない。
魔女には人間のような様々な感覚はあるのだろうか。


想い出、というものを軸に、
人々の感情の交差、人と魔女との感情の交差、
そして想い出というふんわりとしたものを、
温かさの中に、哀しみと凛としたものを感じさせる本作は非常にオススメであります。


振り返ってもいい。でも戻るな。
一歩一歩大事に、歩を進めるのが、大事なのだ。


「本当はもっとシンプルでしょう」
「え」
「本物の相手の見つけ方」
「シンプルって?」
「想い出にならない人。それが運命の人よ」
「想い出に、ならない?」
「好きだった、にならない人。あの頃はよかったな、と思わない相手。
何年たっても好き。現在進行形のまま。それが本当に大切な人」

2011年10月4日火曜日

♯265 the third eye foundation「the dark」(音楽)


ということで、お久しぶりです。
the third eye foundation「the dark」です。

この名義としては10年ぶりのようですね。
その間発売されたMatt Elliottとしての盤も、
無論素晴らしかったわけですが、
本作を聞いて、やはり思ったわけです・・・
third eye foundationすげぇ・・・と。

ドラムンがビートがストリングスが、
アルバム全体を通して最高のセンス!!
低音もブリブリいわせてますし、
なおかつ荘厳で、この世界観たるや、
まさに孤高!至高!!

アルバム1枚で1曲と言っていいほどの、
全体的な完成度は圧巻です。
ホント、おすすめですね。


2011年9月6日火曜日

♯264 Slow Club(音楽)


イギリスのデュオです。
上の画像は2009年発表の「YEAH SO」です。
この作品がまた素晴らしい。

両者のポップ感溢れるボーカルと、
ギターの調べが実に、絶妙に素晴らしすぎるのです!

多くの人の琴線にふれるに違いない、
そのキャッチーかつ上質なメロディーとボーカル。
キュートさと、どこか寂しげな感じが垣間見える感じは、
もうキュンキュンがとまりませんね。

そんな彼らが2年ぶりに「Paradise」を今週リリース。
もうこちらもチェックせずにはいられませんね。
ポップさがより増しているようです。


新譜「Paradise」より『Two Cousins』



「Yeah So」から『It Doesn't Have To Be Beautiful』


2011年9月1日木曜日

♯263 木下美紗都「それからの子供」(音楽)

今年7月にリリースされた本作は、
彼女にとってなんと約4年ぶりだそう。
そうかぁ、そんなに経ってたんだなぁ。

自身が作詞、作曲、編曲、演奏、録音、ミックスを担当。
その類い稀なる才能は他方から認められているところです。
映画音楽もこなしていたりと、
非常にマルチで柔軟なミュージシャンですね。

そんな彼女の音楽の根底はポップス。
ジャズやテクノ的な音楽など、
音楽の要素ごちゃまぜ でありながら、
出来あがるのはやっぱりポップスなのです。

様々な音をうまく収めてます。
ポップスであって明るさとともに、
どこか曇った部分もうかがわせるのは彼女の妙か。
オススメです。

参加ミュージシャンは以下の通り(ヘッドホンより転載)
石塚周太(E.Guitar他)
権藤知彦(Euphonium)
Jimanica(Drums)
千葉広樹(E.Bass, Wood Bass & Violin)
手島絵里子(Viola)

試聴

2011年8月30日火曜日

♯262 ザ・レスラー(映画)




2008年 アメリカ
監督 ダーレン・アロノフスキー
出演 ミッキー・ローク、マリサ・トメイほか

あらすじ

「かつては人気を極めたものの
今では落ち目のレスラー、ランディ(ミッキー・ローク)。
ある日、ステロイドの副作用のために心臓発作を起こし、
レスラー生命を絶たれてしまう。
家族とはうまくいかずストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)
にも振られ、孤独に打ちひしがれる中で、
ランディは再びリングに上がる決意をする。」


 ということで、今日は「ザ・レスラー」
再起、というこの物語同様、
「かつてのスター」ミッキー・ロークにとっても
再起作となったのが本作であり、
話題となったのも記憶に新しいですね。

 レスラー一筋で流行とは無関係で、
色々センスの悪さを露呈する普段のランディは、
「かつての」時代から時間が止まっているかの
様子をうかがうことができ、
また落ち目のレスラー業とともにスーパーでバイトをしており、
その様子も一層「かつての」や「落ち目の」という
感じを思わせる。この姿をミッキー・ローク本人と
重ねた人も多いだろうし、そういう見方をしなくても、
十分に感じ、楽しめる作品である。

 そんなランディは、歳を重ねても、
どんなに落ち目になってもリングに上がり続ける。
殴り殴られ、体に無数の傷を負い、多くの血を流し。
そんなとある日、薬の副作用で、
レスラー生命が絶たれるわけだが、
その時、レスラー一筋で生きてきたランディは、
どのようになっていくのか。これが見どころです。

 再就職という簡単な道が待っているわけでもなく、
今のバイトをするしかない。
また疎遠となっていた娘に会いに行き、
うまく関係を築けそうになっても、
頓挫し、もうホントその姿はやるせない。

 ランディはストリッパーであるキャシディのもとへ、
よく息抜きに行き、気の知れた関係である。
そしてレスラー引退を機に彼女のもとへ言い寄るものの、
彼女に振られてしまう。

 そうこうランディは自分の生きる道を悩みながら、
時はそういったものと無関係に経ていく。
娘とも結局うまくいかず、女にも振られる。
彼に残ったものは何か。
何もない。そう思うのが現実的だ。

 だが、ランディは違った。
まだ彼には少なくともファンがいるのだ。
そして彼の心の奥の中心にはプロレスがあるのだ。

 彼は、再びリングに上がる決意をした。
キャシディにそれを告げ、リングへ向かう。
もうストリッパーとしても落ち目だった彼女も、
彼を、そして9つになる息子のことをより意識した。
彼がリングへ向かう直前、
彼のパートナーになってもいいわよ、
と質問を投げかける。

 それでも、それでもランディはリングへ向かった。
彼にとって、やはり中心は金でも、女でも、家族でもなかった、
なかった、というより、できなかった。
不器用過ぎる生き方だろう。
しかし、何か命を賭してでも、
一つの事をやり続ける姿のかっこよさを
ランディはミッキー・ロークは、
まさに体を張って示したのだ。

 この作品を見て、熱くならないわけがないのだ。

予告編





2011年8月27日土曜日

♯261 リトル・ミス・サンシャイン(映画)


 
2006年 アメリカ
監督 ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
出演 グレッグ・キニア、トニ・コレットほか


あらすじ
「アリゾナに住む小太りなメガネ少女・オリーヴの夢は、
ビューティー・クィーンになる事。
コンテストのビデオを研究したり、大好きなおじいちゃん指導の元、
ダンスを特訓したりと訓練に余念がない。
そんな彼女の元に、朗報が舞い込む。
カリフォルニアで行われる
“リトル・ミス・サンシャイン”コンテストに
繰り上げ参加が決定したのだ!問題だらけのフーヴァー家は、
家族6人ミニバスに乗り込み、一路コンテスト会場を目指すが…?!」


 過剰なまでに「勝ち組」を意識する父親(実際勝ち組じゃない)、
色弱で目指すものを失っている長男、
ゲイのおじさんは失恋の上、仕事でもガタガタ、
おじいさんはヘロイン中毒、
というトンデモ家族に囲まれる少女は、
ミスコンに夢中。

 そんな家族が、ミスコン会場へ向かう珍道中を
描いたのが本作となるわけなんですが、
この珍道中がまた面白い面白い!

 ユーモアセンスがなんて絶妙なんでしょう!
それでいて、トンデモ家族のみんなも、
ケンカやハプニングを繰り返しながらも、
実に愛に溢れていて、おもわず笑い泣きしてしまう
素晴らしい作品となっております。
人気があるのもうなずける!!

 少女の見た目も実に愛らしい。
これでミスコン!?というほどのポッチャリ具合と
眼鏡姿が本作のコミカルベースに実にハマる!!

 見ていて時間が過ぎるのをまったく感じさせない
リズムとセンスに溢れる泣き笑い。
押すとこは押すし引くとこは引いてますし。

 あとアメリカ色がすごいです。
んまぁ珍道中ものは、えてしてアメリカなんですが、
随所にみられるアメリカ色は、
たとえ悲しみが背景にあっても、
ポジティブにさせる不思議なものがありますね。

 ということで、おススメです。
みんな見たことあるかもしれないけど、おススメです。

 とにかく楽しい。
ホント、最低な人たちだし、
絶対設定的にあぁはなりたくないけど、
あのように大きな愛とみんなで泣き笑える、
家族という形は、最高だよね。

最低で最高です。

予告編





2011年8月16日火曜日

♯260 冷たい熱帯魚(映画)


 

2010年 日本
監督 園子温
出演 吹越満、でんでん、黒沢あすかほか


「死別した前妻の娘と現在の妻。
その折り合いの悪い二人に挟まれながらも、
主人公の社本信行は小さな熱帯魚店を営んでいた。
波風の立たないよう静かに暮らす小市民的気質の社本。
だが、家族の確執に向き合わない彼の態度は、
ついに娘の万引きを招く。スーパーでの万引き発覚に
窮地に陥る社本だったが、そんな彼を救ったのは
スーパー店長の友人の村田だった。村田の懇願により
店長は万引きを許す。さらに大型熱帯魚店を経営する村田は、
娘をバイトとして雇い入れる。その親切さと人の良さそうな男に誘われて、
社本と村田夫婦との交流が始まる。しばらくして、
利益の大きい高級魚の取引を持ちかけられる社本。
それが、村田の悪逆非道な「ビジネス」を知り、
同時に引き返せなくなる顛末への引き金となった。」


 ということでようやく見ることができました。
大変期待していた本作でしたが、
青森の上映は大変微妙な時期と期間であり、
僕は劇場に足を運ぶことができず、
ひたすらDVDの登場を待ちわびていたのでした。

 園子温ワールドは映画ファンの多くの方は、
「愛のむきだし」ですでに体感されているかと思いますし、
まだ見ていない方にもぜひにとオススメできる作品です。

 そんな期待を抱かせざるを得ないような作品の後の本作ですから、
ハードルは高いものがあったでしょう。しかし、
それを上回る評価を多くの地域・映画祭で得たのですから、
その時点で説得力がありますね。

 さて、本作ですが、
完全ノンフィクションというわけではないのですが、
実際に起こった事件がベースとなっております。

 異常性の高いその事件、
人間を透明にする、という行為、
つまり人を完全にバラバラにし、
無きものとするその残忍性、
というそのもの自体は見ることを拒絶させるものだが、
それをエンターテイメント作品へと昇華させる
園子温の手腕たるや、もはや恐ろしい。

 また不穏な空気というものが、
作品を通してずっと流れているこの空気感、
そして性とユーモアと怒りや悲しみ。
様々な感情の交錯も、どれも取り逃がさないように
包み込みながらも、壊れることのない、
なおかつこちらをどんどん吸い寄せるリズム感。
どれをとっても監督のオリジナリティと
スペシャリティのそれに依拠する部分も大きい。

 キャスト陣がこれまたベテランの演技派を、
主に見えるところに常に置いてるところも、
本作においてとてもハマった部分であるところだと思うし、
んまぁ、演技派というより芸達者、
と言った方が間違いじゃないのかもしれませんが。

 そんな、怪演を見事にやってのけた、
でんでんのインタビュー動画はこちら

 ということで、お腹いっぱいの見事な快作でした。
劇中には突き刺さる表情、セリフ、演出など
非常に多くのものが盛り込まれていて、
どこまで狂気を描いてもエンターテイメントに
帰結するという、もうこちらもお手上げの作品。

 「人生ってのは痛いんだよ」
映画を見ていたら、このセリフが耳に焼きつかないはずがない!
あれやこれやもここで納得!

 痛みという感覚こそ生。生を教える父。
生は、有限なのだ。


予告編