2010年11月24日水曜日

♯228 笑いながら泣きやがれ(映画)




2009年 イギリス
監督 ジャスティン・モロニコフ
出演  スティーヴン・マッコール、マルコム・シールズ ほか

あらすじ

「人生の崖っぷちに立っている男に降りかかる
不可解な出来事を描いたミステリー。
麻薬中毒で借金だらけのコメディアン・ジョーイは、
妻と娘に逃げられ人生のどん底にいた。
そんな折、身に覚えのない傷害罪で捕まった彼は、
友人に助けを求めるが…。 」


 さて、ということで、またもやサスペンス。
しかし、この作品の面白いところは、
主役がコメディアンであり、そのステージでの
パフォーマンスにおいて、事件をネタにし、
過去を振り返りながらオトしていく、というところ。

 まぁ、この作品、ストーリーを簡潔にいってしまえば、
今、上で述べたとおりそのままなのですが、
イギリスのコメディアンの質の低さを露呈している、
という声も多々耳にするが、そういうことじゃない。

 コメディアン、という「職」が持つ、
ステージで一人喋る、というその姿がなによりもの意味を持っている。

 士官学校時代の旧友に会うことで、
話がサスペンスに寄っていくわけなのだが、
過去に教官にレイプを受けた2人。
因縁にもつ旧友と、それを覚えていない主人公。
覚えていないワケは作品を見て確認していただきたい。
とにもかくにもこうした2人の過去が一つの軸となるわけだが、
どうやら2人の思惑はそろわない。

 過去に対する思い、執着。
これはなんとも議論の難しいところである。
人生を歩むうち、結婚や家族を持つことなど、
何かのきっかけで過去が清算されていく者や、
それがただ恨みとして重ねっていく者。
それは様々だと思う。

 そして教官へと復讐しに行くところへ、
連れられていく主人公なのだが、
その復讐の現場さえも、
笑いのステージの上では「過去」であり、
ステージ上で「清算」していく姿には、
なんとも心打たれるものがあり、
落語のようにオトして終える、
というエンディングもとてもスッキリした後味であった。

 新人の監督らしいが、
そして傑作!とも言い難いこの作品だが、
妙に心に残った作品だった気がする。
この監督の動向に注目したいところだ。


予告編




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