
2008年 アメリカ
監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド ビー・バンクほか
あらすじ
「アカデミー作品賞受賞作「ミリオンダラー・ベイビー」
以来4年ぶりとなるクリント・イーストウッド監督・主演作。
朝鮮戦争の従軍経験を持つ元自動車工ウォルト・コワルスキーは、
妻に先立たれ、愛車“グラン・トリノ”や愛犬と孤独に暮らすだけの
日々を送っていた。そんな彼の隣家にモン族の少年タオの一家が越してくる。
ある事件をきっかけにして心を通わせ始めたウォルトとタオだったが、
タオを仲間に引き入れようとする不良グループが2人の関係を脅かし始め……。」
やっと観ることができました(笑)
いつも観るのを忘れちゃっていたので、
今回はやっと、という感じで。。。
ということで「グラン・トリノ」
もう観た方が大多数の様な気もしますけど。。
とりあえず、
アメリカ、という国の性格が存分に出ていましたね。
数多の人種とともに暮らす、
という経験が少ない我々にとって、
理解しがたいこういった話ですが、
この作品は我々に強烈に、その乏しい経験の穴をえぐり、
少しばかりは何か埋めてくれたような気がします。
そして車、グラン・トリノ。
1970年代に生産されていた車ですが、
妻に先立たれ、戦争・グラン・トリノ、
といったものが記号的に象徴化されており、
ストーリーに自然と時代の変遷を組み込ませている。
アジア人が隣に移住してくる。
偏屈で頑固で、アジア=イエロー、
なまさにアメリカンなイーストウッドも、
時間が経つにつれ、そして異文化との交流をもつことで、
「理解」がそこに生まれる。
不良一味がそこに絡んでくることで、
平穏は脅かされていくわけだが、
「理解」が「絆」に変わっていくときに、
アクシデントが発生する。
定石通り、ラストへの山場に流し込まれる。
上の画像にある文字を読むといいだろう。
「俺は迷っていた、人生の締めくくり方を。
少年は知らなかった、人生の始め方を。」
生きざまを、男っていうものを、
この少年に教えるイーストウッドはかっこよかった。
やはりかっこいいのだ、イーストウッドは。
実にアメリカ的なユーモア交じりのトークは、
絶品であり、つまり、そこにも民族・文化の違いが表されており、
グラン・トリノという固有の時代を表す記号は、
イーストウッドの人生とロマンが多分に詰まっていた。
そういった記号的な部分と民族的な違い、
これらが絶妙に交わる傑作でした。
人生というもの、終わりがいつ来るのかは、
知りえないことだし、はたまた「終わり」なのかすらわからない。
しかし、我々が歳を重ねる、ということは、
その分、何かを「残す」ということでもある。
残る物は人それぞれであるが、
こうした、生き様や歴史、ロマン、
といったものを残すこと、
そしてそれらを伝える、ということ。
「財を残すは下、仕事を残すは中、人を残すを上とす」
野村監督もよくこの言葉を引用していたなぁ。
人を残す、という覚悟は、
「残すもの」の積み重ねによってなし得ることじゃなかろうか。
良くできた作品であった。
予告編
0 件のコメント:
コメントを投稿