2010年11月30日火曜日

♯229 フーリガン(映画)




2005年 アメリカ/イギリス
監督 レクシー・アレクサンダー
出演 イライジャ・ウッド、チャーリー・ハナム、クレア・フォーラニ、
   マーク・ウォーレン、レオ・グレゴリー ほか


あらすじ

「友人が手を染めていた麻薬売買の罪を着せられ、
ハーバード大学を退学処分になったジャーナリスト志望の
マット(イライジャ・ウッド)は、傷心のまま姉の住むロンドンへ。
姉の夫の弟であり、フーリガン・ファームのカリスマ的リーダー
でもあるピート(チャーリー・ハナム)と出会った彼は、
彼に連れられサッカー観戦に行く。」


 ということで、何かUK的なの見たいな、
ということで選んだこの作品。
「HOOLIGANS」っていったらランシドでしょ!
なんてツッコミはないとは思いますが、
はい、フーリガンのお話をチョイスしました。

 えっ、そんなバイオレンスな感じの映画に、
イライジャ・ウッド君が出てるの!?
なんて感じですが、こちらは配役見て納得です。

 ということで、米国での事情を機に英国に渡り、
姉の夫の弟であるフーリガンのピートに出会うことで、
ストーリーはどんどん展開していきます。

 サッカーのシーンは、ホント、スピーディーで近い目線で、
あぁ生でこんなサッカー見たいぃ、と思わされたのも、
ほんの幻。。サッカーのシーンはほんのこれだけ。
つまりは、これはフーリガンの抗争を重点に描かれた作品なのです。

 そう、暴力!!暴力満載の映画です。
フーリガンの飲みっぷり、暴れっぷり、ファッション。
どれもこれも堪能できる作品だと思います。
(ちなみにホームチームはウェスト・ハム)

 抗争がもたらすものと友情、話の中心はここなのですが、
この作品の良いところは、イライジャ・ウッドのおかげで、
それらの視点を客観視できるところにあります。
単なる暴力ドキュメンタリームービーじゃないところが、
この作品の褒めどころの一つにもなるだろうし、
甘ちゃんなんて嫌いだぜ、なんて人には、
物足りなさを与えてしまう恐れもあるかもしれませんね。

 それにしてもあぁまで暴力!抗争!
なのですが、実のところ、監督は女性。
単純な作品におさまらなかった理由の一つなのかもしれませんね。

 レオ・グレゴリーもいい味出してます。
「ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男」
の時より、俄然かっこいい!と思いましたね。

 100分ちょっとながら、
飽きることなく見ることができる、
見やすく、それなりに面白い作品だと思います。
ということで、おすすめです。

予告編




2010年11月24日水曜日

♯228 笑いながら泣きやがれ(映画)




2009年 イギリス
監督 ジャスティン・モロニコフ
出演  スティーヴン・マッコール、マルコム・シールズ ほか

あらすじ

「人生の崖っぷちに立っている男に降りかかる
不可解な出来事を描いたミステリー。
麻薬中毒で借金だらけのコメディアン・ジョーイは、
妻と娘に逃げられ人生のどん底にいた。
そんな折、身に覚えのない傷害罪で捕まった彼は、
友人に助けを求めるが…。 」


 さて、ということで、またもやサスペンス。
しかし、この作品の面白いところは、
主役がコメディアンであり、そのステージでの
パフォーマンスにおいて、事件をネタにし、
過去を振り返りながらオトしていく、というところ。

 まぁ、この作品、ストーリーを簡潔にいってしまえば、
今、上で述べたとおりそのままなのですが、
イギリスのコメディアンの質の低さを露呈している、
という声も多々耳にするが、そういうことじゃない。

 コメディアン、という「職」が持つ、
ステージで一人喋る、というその姿がなによりもの意味を持っている。

 士官学校時代の旧友に会うことで、
話がサスペンスに寄っていくわけなのだが、
過去に教官にレイプを受けた2人。
因縁にもつ旧友と、それを覚えていない主人公。
覚えていないワケは作品を見て確認していただきたい。
とにもかくにもこうした2人の過去が一つの軸となるわけだが、
どうやら2人の思惑はそろわない。

 過去に対する思い、執着。
これはなんとも議論の難しいところである。
人生を歩むうち、結婚や家族を持つことなど、
何かのきっかけで過去が清算されていく者や、
それがただ恨みとして重ねっていく者。
それは様々だと思う。

 そして教官へと復讐しに行くところへ、
連れられていく主人公なのだが、
その復讐の現場さえも、
笑いのステージの上では「過去」であり、
ステージ上で「清算」していく姿には、
なんとも心打たれるものがあり、
落語のようにオトして終える、
というエンディングもとてもスッキリした後味であった。

 新人の監督らしいが、
そして傑作!とも言い難いこの作品だが、
妙に心に残った作品だった気がする。
この監督の動向に注目したいところだ。


予告編




2010年11月23日火曜日

♯227 パーフェクト・ブルー(映画)



1998年 日本
監督 今敏


あらすじ

「謎の人物のストーキングに怯えるアイドルの恐怖を描く。
アニメで本格的な現代サスペンスに挑んだ意欲作であり、
リアルな作画や狙われるアイドルの心理描写、
そして画ではなく物語から恐怖を語った演出は目を見張るものがある。
声の出演に岩男潤子、松本梨香。
人気絶頂期にアイドル・グループから脱退し、
女優に転身を図った美少女・未麻。
ある日、彼女のもとに熱狂的ファンらしい人物から
脅迫めいたFAXが届く。やがてその行為はエスカレートし、
未麻は次第に身の危険を感じるが…。」


 今敏を今頃追悼、ということで。代表作ですね。
あらすじ的にはありきたりに見えるかもしれないストーリーだが、
これをアニメーション化したことで、
実写には表現し難い部分を表すことに成功した、
という記念碑的作品でありましょう。

 作品自体の時代性もあってか、
その時代について多く反映されてる部分も多いが、
理解に苦しむ点は特にない。

 複数の伏線が張られているかのような、
難解めいた構成にも感じるが、
これは自己完結させておいても十分に、
サスペンスを楽しめる内容となっているし、
考えれば考えるほど、深みにはまってしまいそうな感もある。

 久しぶりにサスペンスを見たので、
見終えたあと、ちょっとドーンときましたが、
人を時代を情景を切り抜く抽出力というのは、
才人ならではと言えよう。


予告編




2010年11月21日日曜日

♯226 鶴ヶ坂リゾートハイツ(紀行)

 さて、前の日曜日の話になりますが、
友人とヒョンなことから「鶴ヶ坂リゾートハイツ」
へ行った、というか迷い込んだ、というか。。。

 ということで、それが意外にも、
写真スポットが色々あったものですから、
その記録を淡々と載せておきたいと思います。

 この地は、いわゆる別荘地で、
青森市の完全なる外れに位置し、
周りに自然がある、ということ以外は、
いたって不便、といえるかもしれません。

 温泉の権利付きで分譲されているらしいですが、
実情はいかばかりなのでしょうか。
まぁ主に避暑に来る場所でしょうから、
人とはまったくすれ違わない、
寂しさしか漂わない地であった、
というのがこの日の感想です。

 まず我々を迎えたのは足湯でした。
蓋が閉められていて、ただ水が張ってある状態なのか、
と思ったら、意外にも温かい。機能しているんですね。

 リゾート=テニス、なのでしょうか。
2か所ほどあるテニスコートは、
ここ数年の使用感はゼロ、なのではないでしょうか。

 ひっそり佇む池は、
まだ紅葉を楽しめるポイントもあり、
思いのほか綺麗であったことは救いでした。

 寂しさが常に漂っていました。
しかし、寂しさ、というものは、
寂しいなりの愛着を人に与えるもので、
その姿は心に見事に焼き付けられたと思います。
ぜひ、一度、足を運んでみては。。










































2010年11月19日金曜日

♯225 上島ジェーン(映画)



2009年 日本
監督 マッコイ斉藤
出演 上島竜兵 有吉弘行ほか


あらすじ

「日本でも有数のサーフスポットとして知られる
千葉県志田下にやって来た上島竜兵は、
後輩芸人である有吉弘行とともにサーフィンに挑戦する。
二人は無謀にも手探りでサーフィンを始め、
厳しい志田下の波にもまれながらも、
地元サーファーとの触れ合いを通じて友情を育んでいく。
そんな上島に人生を変える出来事が起きる。」


 ということで、そういえば!!
ということで、こちらもようやく見ることができました。
というより、ちょっと存在を忘れていました(笑)

 予告編見た当時から、面白そう!って感じだったのですが、
まぁ上島氏と有吉氏の掛け合い、ってところで、
大筋想像できるところでしょうが、
それでも見たい!と思わせる魅力を私は彼らに感じています。

 やはり、といっても差支えないかと思いますが、
ダメダメな先輩上島氏に食ってかかる有吉氏、
という構図はこの作品中何度も出てくるものの、
何度見ても面白い。鉄板の構図。黄金率。

 この構図があれば、あとは題材は何だって良いかもしれない。
真面目に取り組む一般人に彼らを溶け込ませたら、
「やっぱり芸能人なんだ」ということがすこぶる理解できる。

 ラストは正直イマイチ、というのが素直な感想だが、
「かっこつけると、死ぬんですねぇ。」
というセリフは印象的であったが、
どんなにストーリーと照らしあわても、
決してそこに重みはない。

 肩肘張ることなく、
映画って感じもそこまでしないので、
一つの面白フィルムとして見ておくには、
全然損はない作品であろうかと思います。

 ただ、出演している女の子たちは、
ホント、かわいいです(という風に見えてしまう)。。。

予告編





2010年11月15日月曜日

♯224 concern 「cæsarean」(音楽)




 あれ?たしか来日するんだっけ?したんだっけ?
ちょっと忘れちゃいましたが、アメリカ人、concernです。

 札幌のslow flow recからのリリース。
アンビエント系ドローンサウンドです。
よくある音、ですがなかなか良質だと思います。

 「Discrete Memorial」なんかは、
弦楽器等の演奏を加工し、楽器の表現にボカシを
入れることで、また新たなドローン感覚を提示しています。

 ドローンサウンドながら、
ゆったりと(というかやや重苦しくもあるが)抑揚が付けられている点は、
キャッチーな印象を与え、
なんとなく良質なんだな(笑)なんて思わされたりもします。

 佳作、そんな位置でしょうか。

試聴




2010年11月11日木曜日

♯223 グラン・トリノ(映画)




2008年 アメリカ
監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド ビー・バンクほか


あらすじ
「アカデミー作品賞受賞作「ミリオンダラー・ベイビー」
以来4年ぶりとなるクリント・イーストウッド監督・主演作。
朝鮮戦争の従軍経験を持つ元自動車工ウォルト・コワルスキーは、
妻に先立たれ、愛車“グラン・トリノ”や愛犬と孤独に暮らすだけの
日々を送っていた。そんな彼の隣家にモン族の少年タオの一家が越してくる。
ある事件をきっかけにして心を通わせ始めたウォルトとタオだったが、
タオを仲間に引き入れようとする不良グループが2人の関係を脅かし始め……。」


 やっと観ることができました(笑)
いつも観るのを忘れちゃっていたので、
今回はやっと、という感じで。。。

 ということで「グラン・トリノ」
もう観た方が大多数の様な気もしますけど。。

 とりあえず、
アメリカ、という国の性格が存分に出ていましたね。
数多の人種とともに暮らす、
という経験が少ない我々にとって、
理解しがたいこういった話ですが、
この作品は我々に強烈に、その乏しい経験の穴をえぐり、
少しばかりは何か埋めてくれたような気がします。

 そして車、グラン・トリノ。
1970年代に生産されていた車ですが、
妻に先立たれ、戦争・グラン・トリノ、
といったものが記号的に象徴化されており、
ストーリーに自然と時代の変遷を組み込ませている。

 アジア人が隣に移住してくる。
偏屈で頑固で、アジア=イエロー、
なまさにアメリカンなイーストウッドも、
時間が経つにつれ、そして異文化との交流をもつことで、
「理解」がそこに生まれる。

 不良一味がそこに絡んでくることで、
平穏は脅かされていくわけだが、
「理解」が「絆」に変わっていくときに、
アクシデントが発生する。
定石通り、ラストへの山場に流し込まれる。

 上の画像にある文字を読むといいだろう。

「俺は迷っていた、人生の締めくくり方を。
少年は知らなかった、人生の始め方を。」


 生きざまを、男っていうものを、
この少年に教えるイーストウッドはかっこよかった。
やはりかっこいいのだ、イーストウッドは。

 実にアメリカ的なユーモア交じりのトークは、
絶品であり、つまり、そこにも民族・文化の違いが表されており、
グラン・トリノという固有の時代を表す記号は、
イーストウッドの人生とロマンが多分に詰まっていた。
そういった記号的な部分と民族的な違い、
これらが絶妙に交わる傑作でした。

 人生というもの、終わりがいつ来るのかは、
知りえないことだし、はたまた「終わり」なのかすらわからない。
しかし、我々が歳を重ねる、ということは、
その分、何かを「残す」ということでもある。
残る物は人それぞれであるが、
こうした、生き様や歴史、ロマン、
といったものを残すこと、
そしてそれらを伝える、ということ。

「財を残すは下、仕事を残すは中、人を残すを上とす」
野村監督もよくこの言葉を引用していたなぁ。
人を残す、という覚悟は、
「残すもの」の積み重ねによってなし得ることじゃなかろうか。

良くできた作品であった。


予告編




2010年11月5日金曜日

♯222 動画選(音楽)

 動画選です。
ツイッターでよく垂れ流しているものを、
まとめただけなので、ツイッターフォロワー様は、
すでにみかけたものばかりとなっているので、
ご了承ください。
ちょっとプラスαしてますけど、ね。


陽と背中 by YAMANE ,Paranel ,EeMu
(フリーでどんどん配信していますね。
ポップという面でみると、なかなか新鮮で、
これからも注目してみるに十分だと思います)


SPECIAL OTHERS AIMS (live)
(スペアザが新譜出していたので、
久々に取り出して聞いてみて、
LIVE動画を眺めていると、そそっちゃいました。
僕が大学時代にグイグイきてましたねぇ。
いやぁ、しかし、普通にかっこいい。
ベースの人、イケメン。みんな髭。)


ECD ロンリーガール feat. K DUB SHINE
(十年以上前の曲?
K DUBのいい仕事っぷりに感服。
リリックが当時の時代をなぞりながら、
何か今にも通じる感じ、染みる。
夜に聞くと、しみじみしちゃう)



EE Jump おっととっと夏だぜ
(この曲展開は、クイーンのボヘミアン・ラプソディを超えている!?
と思わずツイートしちゃった記憶があります。
とんでも展開ですね、改めて聞くと。
下のコメントの「おっとおっとムショだぜ」に
思わず苦笑してしまいましたね。
ソニン、そそりますね)


Folder 5 『STAY・・・』
(モテキ・・・満島ひかり、という流れでしたが、
やっぱりAKINAをみちゃう、というほど、
やはりこのグループの完全なる中心でした。
そしてこのわかりやす過ぎるメロディー。
そしてこのダンス!思わず真似したくなる!!
一か月で100回は聞いたと思います)


アマチュアリズム・レボリューション21/モーニング娘。にライムスター
(マッシュアップってやつですか。
とにもかくにも、マミーDがかっこよくてねぇ。
そしてこのマッシュアップもなかなか神がかっていると思います。)


Jazz Liberatorz-I am hip hop
(Jazz Liberatorzにはハズレなし。
スタイリッシュにきまってますね。
たまに一人これを車で聞くと、陶酔し、
陶酔した自分に後から恥ずかしさを覚えます)


阿部芙蓉美:私たちの望むものは(岡林氏のカバー曲ですね。
大友氏のアルバムに収録されてます。
音楽として完ぺきに近い程丁寧かつ洗練されてますね。
詞と声と演奏、本当に質が高い。異次元)


Primus - Tommy The Cat
(ベース狂い咲き!!
久々に聞いてしまったプライマス!!
いいなぁ。技術をユーモアに持っていく感じは、
うん、実にアメリカン!!
オルタナサウンドは多彩で今聞くとホント面白いね)


Abrasive Wheels - Just Another Punk Band
(急にItunesでこれが出てくるもんだから。
パンクサウンドはどうしてもやめられません。
タフガイ!!)


Aztec Camera Walk out to winter
(何にせよ、言いたいことはただ一つ。
Aztec Camera永遠なり)






2010年11月3日水曜日

♯221 バッシング(映画)




2005年 日本
監督 小林政広
出演 占部房子、田中隆三、香川照之、大塚寧々ほか


あらすじ
「井有子(占部房子)は中東の国でボランティア活動をしていた際、
武装グループに拉致監禁されたが無事解放され帰国する。
北海道に戻ってからも彼女は毎日“世間”から激しいバッシングを受け、
ある日突然アルバイト先のホテルの支配人(香川照之)
にもクビを宣告される。ついには父親(田中隆三)まで
勤務先に退職を強要され……。」


かつて起きた日本人人質事件を基に描かれた作品だそうで、
実際のところはわからないが、
バッシングとは、自己責任とは、
ということを痛烈に投げかける社会派的作品。

よかれと思ってやった自分の行動が、
バッシングの的となる。
その手前にはおそらく報道がなされ、
われわれに、その行動について、
善か悪かの2択を求める。
その果てが、これである。

バッシングの被害は、その個人にとどまらない。
無論、その家族にまで被害は伝播し、
収入の糧をなくし、絶望へと暮れる。

ひたすら、落としに落とされる作品であった。
ラストというか、ハッキリとした答えを示さない、
というか説明を極力減らした展開であるだけに、
色々なものを投げかけられていた気がする。

必ずしも選択肢は2つ、2極ではない。
思い描いたものを達成できても、
世の受け止め方は、様々であり、簡単に操作し得る。
かといって何も信じない、ということも、
私にとっては愚にしか思えない。

そういった深く何かをえぐられた感覚が、
この作品を見終えた後、残った。

予告編




2010年11月2日火曜日

♯220 角田俊也「Scenery Of Decalcomania」(音楽)




角田俊也氏による2004年の作品です。
フィールド・レコーディングにエレクトロニクスを交えた、
ドローンサウンドです。

ひたすら、ストイックに流れ続けるその音は、
独特な、そしてどこかオリジナリティを感じてしまう
そのサウンドは実に硬派。

ミニマルとも言えそうだが、
その中には、多分な効果がありそうな、
その空気感は不思議で、そしてディープ。

光と闇が交錯するその入り口に、
とりあえず立ってみることで、
また新たな体験をすることができる。

試聴