2011年2月8日火曜日

♯241 (500)日のサマー(映画)




2009 アメリカ
監督 マーク・ウェブ
出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ズーイー・デジャネルほか

あらすじ

「建築家を志しながらもカード会社でライターの職に
甘んじているトムは、運命の恋を夢見るロマンチスト。
いつか素敵な恋人に出会えるはずと信じていた。
そんなトムの前に新入社員サマーが表れる。
彼女を一目見た瞬間に恋に落ちたトム。
サマーもトムに好意を抱き、2人はデートを重ねるが、
彼らの間には大きな壁が立ちはだかっていた。
トムと違って、サマーは真実の愛なんてものを、
これっぽちも信じていなかったのだ。・・・」



 いやぁ、結論から言いましょう。おすすめです!
久々に映画を見て泣いてしまいましたね。

 ということで、、、、

真実の愛ってなんですか?
運命ってのは信じますか?
恋って必要??

 普通のラブストーリーものの作品だと思って見たこの作品。
一味違いました。食われました。

 恋愛、というものは、
どうしても人生において我々の前に存在するもので、
たとえ、恋なんてしない、という感情を抱いてるとしても、
それは「恋愛の否定」として存在しているわけですが、
本作は「否定」と「肯定」という二人の存在が始まりなわけです。

 主人公の男の前に現れた一人の女性(サマー)。
スミスの音楽を通じて彼らは交流を持つようになるわけですが、
ロマンを抱く、その男はたちまち恋におちていきます。
しかし彼女は完全なる恋愛否定論者。
あくまでも、友達でいたい、と。
手をつなぎデートをしようが、キスをしようが、
セックスをしようが、あくまで彼女は恋愛関係は否定なわけです。

 そんな彼女との日々500日間を、
時間軸を’わかりやすく’交ぜながら、
進めていくあたりは見ている方としても、
とてもキャッチーでわかりやすく、
その日々というものを、感情の移り変わり、
というものを痛い程突きつけられるわけです。

 彼女との日々が募れば、その分、思い出が積もる。
恋愛関係の否定を改めて突きつけられても、
どうしてもその思い出はすぐには拭い去ることはできない。
彼女との思い出のスミスの曲を流してみる。
しかし彼女は素通り。
こういったすれ違い感というものは、
恋愛経験上、経験している人は多いはず。
そう、あの青い感覚。

 この作品は、本当に見ている側の青い感覚を、
強く強く、えぐる。
 
 女性役を演じる、ズーイー・デジャネルという存在は、
まさにその感覚をえぐるに最良すぎる程に好材料であり、
キャスティングの妙がうかがえます。
とにかく、かわいいんだな。

 自分の恋愛感覚というものを否定され続けた、
という結果になるこの男は、次第に、
結局女なんて、、恋なんて、、愛なんて、、、
という出会った時の彼女と同じような性格、
つまり「恋愛否定論者」的な立ち位置に変わっていく。
彼女との距離はしだいに離れ、
仕事もスランプ続き。

 彼は、目指していた職、
建築家を目指し、会社を辞める。
そんな折、彼女と再び出会ってしまう。
彼女は彼をパーティーに誘った。
そのパーティーで知った真実とは、
彼女が結婚するということであった。

 今まで愛を否定していたあなたは一体?
それゆえにあくまで友人であった俺は何?
再び、己を根本からえぐられた彼は、
ただただ、現実から離れることしかできない。
その場から立ち去ることしかできない。
  
 後日、そんな彼は自分のお気に入りの公園に足を運ぶ。
ここも、彼女と一緒に行った場所だ。
蓄積された思い出は、意識的にも無意識的にも、
作用してしまうもので、なかなか拭い去ることはできぬものだ。
そこに結婚指輪をはめた彼女がいる。

「会えると思ってたわ」

(だって、あなたの最高にお気に入りの場所で、
私との思い出の場所だものね)

というセリフを付け加えてもいいような場面である。
恋愛否定論者であった彼女が結婚に至った理由とは。

「偶然であり、運命」

「あなたとは、運命じゃなかったってことなの」

もう、笑うことしかできない。
その女をアバズレと一言で片づけてしまうのは簡単だ。

しかし、その一言で片づけることは、
自己満足に過ぎない。

何が起きようとも、
起きたことが、真実でしかないのだ。

去り際に、彼女が彼の手を握り、
去っていく姿に、さらに歯がゆさを感じる。

どんなに思い出を積み重ねても、
どんなに己が運命の人だと愛したとしても、
真実は、積み重ねたものを否定だってするのだ。

こうした歯がゆさを感じるか感じないかは、
彼に視点を置くか、彼女に視点を置くか、
で変わってくるものであると思う。

単なるラブストーリーではない。
愛を語る、というよりも、
真実とは、現実とは、というものを
突きつける作品ではないだろうか。
思いのほか、その突き方が、
私にとってグサりときたためか、
涙が思わず流れてしまっていた。


とにもかくにも傑作といえます。
ぜひ見ていただきたい。
決してこのブログの文だけで、
そして載せている予告編だけで、
この作品の素晴らしさは、伝わらない。
これは断言できる。
というか、映画とはそういうもの。
映像と見る人の感情なしにはわからないものだ。

人それぞれの違う視点がそこにはあるはず。
それぞれの感想を聞いてみたいものです。


あ、最後に、、
ズーイー・デジャネル、本当に可愛かった。
かわいすぎて思わず笑ってしまったのは、初めてかもしれない。


予告編




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