映画を2本観てまいりました。

まずは、北野武監督「アウトレイジ」です。
これはもう前々からずっと楽しみにしていた作品です。
ヤクザ映画だから云々、というより、
より映画の「楽しさ」に特化しているであろうことが、
監督などの発言からも察することができたので、
まず外れることのない面白さがあるだろうと期待していました。
映画館は週末だというのに5人くらいしかいませんでした。
おかげで良い席で存分に楽しむことができました。
さて、中身のなのですが、
先ほど述べた「楽しさ」ということなのですが、
難解さやら何やらのクドさが無く、
キャラクターを純粋に際立たせ、
映画全体にリズムとテンポを乗せ、
観る者をよりひきつける、ということなのだが、
監督自らも仰っていたように、見事に表現されていたと思います。
キャラクターもそれぞれ光るところがあり、
キャスティングも光るところが多かったと思います。
徹底した暴力描写、キャラ同士のかけあいのテンポ、
中野英雄のシーンや石橋蓮司氏の例のシーンは、
前評判通り、実に秀逸で、エンターテイメント性の極み、
というには言いすぎだが、実に恐すぎて笑えたシーンでありました。
淡々と暴力描写は続き、まさに全員悪者、なわけですが、
後半に行くにつれ、その、相対的に一定に刻まれているテンポは、
テクノをフルで聞くようなあの「ちょっと飽きる感じ」という感覚は、
否めない部分はありますが、そこを辛うじて支えていたのは、
殺害シーンや脅しのシーンであったと思います。
椎名桔平、加瀬亮、三浦友和、國村隼、杉本哲太、塚本高史、
中野英雄、石橋蓮司、小日向文世、北村総一朗などなど、
それぞれの俳優の良さというものは十分表現されていたと思います。
加瀬亮もきちんと化けていました。
彼をどうヤクザっぽく見せるかは、監督自身なかなか悩んだようですが、
「そう見せる」手腕、というのは相変わらず素晴らしいところであります。
三浦友和に至っては超ハマり役でしょう。
終始頷けるほどにハマッていて、正直かっこよかった。
などなど、そのまんまのテンポと、
エンターテイメント性による「楽しさ」で、
うまいこと最後まで持っていかれた気がします。
終わった後には、「映画みたぁ!」という達成感。
これは本当に楽しめた実に良作だったと最終的には言える作品でした。

続いて、映画館を移って観たのは「告白」。
方々から聞こえてくるその話題性で思わず観たくなってしまった作品。
監督、中島哲也氏なわけで、また素晴らしいものを作ったに違いない、
という思いもあったわけですが、松たかこ主演ということで、
当初は映画館に足を運ぶのを躊躇したものですが、
その話題性のおかげもあって、足を運び、本当に良かった。
まず、この作品の予告編を見たのだが、
予告編では全くこの映画の醍醐味を味わえない、
ということをまず知っていただきたい。
予告編を見て躊躇してもこの作品は足を運ばなくてはいけない。
いやぁ、それにしても暴力を描いた「アウトレイジ」よりも、
血の量は絶対に多かったと思う。出血多量。
女教師・森口悠子の3歳の一人娘・愛美が、
森口の勤務する中学校のプールで溺死体にて発見された。
数ヵ月後、森口は終業式後のホームルームにて
「私の娘はこの1年B組生徒二人に殺されたのです」と衝撃の告白をする、、、
という主題のもと、様々な角度からの告白のもと、
展開は進み、森口(松たかこ)の復讐、
加害家族の地獄、少年たちの狂気、
ネット活用による少年少女の心理。
どこかリリィ・シュシュを彷彿としてしまった自分がいたが、
いやぁ、でもそれとは全然違う衝撃がありました。
血があんなにも流れ、狂気の沙汰にあふれ、
中盤までは実におぞましい印象しかなかったが、
最終的にはなぜか、それらも、前にアウトレイジを観た事も、
すべてが吹っ飛び、不思議な爽快感に伴う放心が、
取り残されていた。
まったく不思議な魅力のある作品だ。
展開も観終わって、実に素晴らしいと感じるし、
これが爆発的ヒットをし、その爆発的な人々は、
一体何を思っただろうか、と聞いて回りたい位でした。
しばし、この映画のシーンの様々な断片が、
僕の身体の内部のどこかで未だに浮遊している感がまだある。
とにもかくにもマストチェックといえるこのヒット作品。
見ておいて損はないだろう、と言いたいところだが、
見る人によっては「キツい」と感じる人もいるかもしれない。
しかし、私はとってもこの作品は好きでした。
音楽も主題歌はレディオヘッド、
他に参加で渋谷慶一郎、Borisなど、
素晴らしいメンツである。
松たかこのあっぱれぶりには正直あっとさせられた。
やはり俳優は、作品に恵まれるかどうかも一つの運といえる。
素晴らしい週末でした。
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