2009年2月17日火曜日

♯12 ブロークン・フラワーズ(映画)


そういえば見るのを忘れていたこの作品。
上映当時も、何か行くのを忘れていたこの作品。
ふとビデオ店で目に入ったので、
うわわと思いだし、早速見た。
微妙に自分に照らし合わさる部分は、小さく胸を刺した。
 ジム・ジャームッシュ監督『ブロークン・フラワーズ』
 突然やってきた手紙に、
「あなたにはもう19歳にもなる息子がいる」
と20年前に別れた女から綴られていた。
その手紙が届いた頃、ちょうど付き合っていた女から振られていた、
初老ビル・マーレイは、その息子を探すことになる。
 その手紙には、宛名がない。
過去に付き合った女たちそれぞれを訪れるわけだ。
もう付き合っていたのは当然過去の話なので、
それぞれ家庭を持ったりと、それぞれ歩を進めている。
そしてこれら一場面一場面に様々な示唆が散りばめられている。
 一番初めに訪れた元カノの家の場面では、
ビル・マーレイの前で普通に元カノの娘は裸で闊歩する。
これは、もはやビル・マーレイは何ら男として意識されていない事を
示唆しているという見方が強いと思う。かつてのプレイボーイもこうなると哀しい。
 このような次々と明示される示唆が、実に哀愁漂うわけだが(他は自分の目で確かめてみよう!)、
それになお拍車をかけるのは、ビル・マーレイそのものであり、
グッドなキャスティングだといえる。
 
 最後の場面では、ビル・マーレイがこれぞ我が息子、と確信する男に出会い、
説教を垂れるわけだが、その空回りさ故、その男は走って逃げ出してしまう。
そこに現れるワーゲンに乗る小太りでタチの悪そうな男は、ビル・マーレイを、
ジーッとにらみつけながら行ってしまうわけだが、
こっちの方が、ビルに似てなくもない。
 
 そして、最後にビル・マーレイを中心に360度グルリとカメラは回る。
その時の彼の後ろには、いくつかの通りが映る。岐路だ。
息子は?孤独なこれからは?
侘しい示唆だけを残し、この映画は終わる。
 過去は、華々しければ、悲しさもある。
孤独であればあるほど、悲しさの部分が己の中で具現化されてしまうのはやむ得ない。
等々、この映画は、マジマジ見れば見るほど、・・・なわけだ。
※動画紹介コーナー
そう、まずこのタイトルにやられるはずだ。
そしてこの歌声により、一層そそられる。





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