2011年6月15日水曜日

♯258 スプリング・フィーバー(映画)


 

2009年 中国、フランス

監督 ロウ・イエ
出演 チン・ハオほか


あらすじ

「現代の中国・南京。
女性教師リン・シュエ(ジャン・ジャーチー)は、
夫ワン・ピン(ウー・ウェイ)の浮気を疑っている。
リンに調査を依頼された探偵ルオ・ハイタオ(チェン・スーチョン)は、
その相手がジャン・チョン(チン・ハオ)という
青年であることを突き止める。リンとワンの夫婦関係は破綻し、
ワンとジャンの関係も冷え込んでいく。
一方、ジャンとルオは惹かれあっていった。
ジャンとルオと、ルオの恋人リー・ジン(タン・ジュオ)
という奇妙な関係の3人は、宿遷へ旅に出る。」



 2010年に上映され、本作を観た人は口々に賞賛していた。
上映館数が少なく、私の県では当然上映されませんでした。
そんな2011年のある時に本作に久々にめぐり合い、
何の躊躇もなく、本作を見てみました。

 ロウ監督は映画の製作を停止される処分の最中、
この作品をデジカメで撮りあげました。
また、本作は男女5人の群像が描かれていますが、
その中には同性愛のシーンもあります。
しかし、中国では同性愛はタブー視されているという側面もあり、
本作は非常に挑戦的な作品でありました。

 冒頭から男性同士による性交シーンという強烈さ。
リアルで激しく、欲望のままに。

 異性との愛、同性との愛、
平行線に進むこれらの線(=愛)が交わる時、果たして・・・

 という点が軸だと思うのですが、
その人間模様はどうしてだろうか、
ブレなどが生じるデジカメというアイテムが見事に、
作品に大きなプラスの要因となって働いていた。

 また俳優陣を尊重する監督のスタイルもあってか、
劇中での様々な感情を見事に捉えていた。

 大まかに言えば、
中盤まではごくごく淡々としている。
しかし中盤以降は、私にとって生涯忘れられないんじゃないか、
という程のものが心にずっとひっかかっているのであった。

 様々に破綻する関係とともに、
始まる三人での旅。やはりそこでのカラオケシーンは、
強く印象に残ったものである。

 愛というものは何か。
異性、同性。愛はそれらを超越するのか。
愛というものは自由なのか。

 次々とそして深々と
投げつけられるそれらの命題は、
僕の心に大きな何かを残していったのは間違いない。

 強い欲望と渇望にまみえる絶望は、
一体何を生んだのだろう。
小さな答えを自分なりに感じ取れた気がした。

 こんなに映画を見て余韻を引きづるのはいつぶりだろう。
忘れられないし、忘れたくない。
おそらく幾度となく、私は本作を見ることになるであろう。



予告編





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