2011年1月30日日曜日

♯239 息もできない(映画)




2008 韓国
監督:ヤン・イクチュン
出演:ヤン・イクチュン、キム・コッピほか


あらすじ

「友人が経営する取り立て屋で働いているサンフン。
その容赦ない取り立てと暴力は時には仲間にも向けられ、
怖れられていた。ある日、サンフンの父が刑務所から出所。
幼いころ、家庭内暴力が元で母と妹を死なせた父親。
その父をサンフンはただ殴りつける。
そんなサンフンが出会った女子高生のヨニは、
サンフンの暴力的な態度にも怖がらない。そんな彼女に、
サンフンはどこか惹かれるものを感じる。
そんな彼女の家庭も暴力を抱えていた。」


 ということで、ようやく拝見しました。
青森ではなかなか上映されず、
もういいや、なんて思っちゃってもいましたが、
いやいや、こんな評判が最高級な作品を、
やっぱり見ないわけにはいかず、拝見。

 当時、北野映画と比較される方が多かったのですが、
この作品を見て実にその気持ちはわかる!わかります!
でもまぁ、深くかいつまむとそりゃ違う、わけなのですが、
そんなことより、この作品をどんどんプッシュしたい!

 監督・脚本・主演をこの度つとめたヤン・イクチュン。
ホントに初めてでここまでの質を作り上げることができるのか。
終始緊張と集中を自然にこちらを促すその演者の渾身さは、
クルー含めての熱意を存分に感じる。

 超低予算。インディペンデント。
という、もう何で何で初めてかつ低予算でこのクオリティ。

 冒頭から暴力の描写は激しい。
主人公の男と少女の出会いが物語の展開のポイントになるのだが、
とりあえずその身体的暴力と言語の暴力(罵声)、
がこの作品の根底になるわけだが、
それも一つのコミュニケーションとなっているのも面白い。

 互いに過去の家庭の傷を持っている二人。
互いに抱えたものを噛みしめながら、
表面的にはコミカルな面を多数交えながら、
二人の距離は、「クソ野郎」「クソアマ」ながら、
縮まっていく。

 男にピンと張られた緊張感。
それはビンビンに伝わる。
そしてその緊張感つまり本作で言う「憎悪」などの
ピンと張られた感情が、ふと切れた時、
心の奥底から湧いてきたものは・・・。
もう、ここの作りはたまらないものがあります。
こちらの感情も爆発しそうなくらい、
涙腺がはち切れるんじゃないかというくらいに
私を揺さぶってくれたものでした。

 ろくな会話もできない、罵り言葉しか浴びせられない、
そして暴力性むき出しのその男たれども、
心の底から湧き出てくるものは、
それはそれは極自然的な、そして人間的な、
純然たるものであり、それはその底にある物への
想いが強ければ強い程、私の心に訴える、突き刺す、
といった効果は大きい。

 ホッとできる時間は本作中には皆無ともいえる。
見終えたあとにも残るその残像の強さは、
やはり初監督の仕事にしては大きすぎる。
称賛しかない。

間違いなく、私的2010年上映作品ナンバーワンは本作だと思った。
間違いない。とりあえず見てない方は見て欲しい作品です。
そのために、苦し紛れながらに、
ネタばれしないように今回は特にそこを、
重点的に注意して書いたのですから。


予告編





2011年1月27日木曜日

♯238 プレシャス(映画)




2009 アメリカ
監督 リー・ダニエルズ
出演 ガボリー・シディベほか


あらすじ

「実父と義理の父によって妊娠を2度させられ、
母親(モニーク)からは精神的にも肉体的にも虐待を受ける
16歳の少女プレシャス(ガボレイ・シディベ)。
悲惨な家庭環境に生きる彼女は、学校の先生や友達、
ソーシャルワーカー(マライア・キャリー)らの助けを借り、
最悪の状況から抜け出そうとするが……。」


 ということで、拝見しました「プレシャス」
もう見た目から相当なインパクトなもんで、
なおかつ評判のいい話題作、
もちろんチェックせずにはいられませんね。

 写真にある通り、主人公はこの太った女性、
というより女の子。学生さんです。
ハーレムで育ち、近親相姦され、
父にあたる男に2度妊娠させられ、
母親もどうしようもない、生活保護だけが、
頼りの、負負負の連続ともいえる彼女。

 完全に暗いストーリーにしか、
聞こえようがない感じになってますが、
そこに、彼女が「もし、こうだったら・・・」
という妄想を挿入させることで、
暗さの一方的展開を避けてるわけですが、
まぁその妄想からの現実への回帰の、
そのギャップもまた恐ろしいこと。
「現実」というものをまざまざと印象付ける
ことに成功していますね。

 粗悪な家庭環境により、
ついに学校も追い出され、代替学校(オルタナティブスクール)
に通うことになるが、これが一つの転機となります。
読み書きもできなかった今まで、
そしてろくな友人もいなかった今まで、
それに加え、ソーシャルワーカー、
代替学校の先生との出会いもあり、
いつしか、プレシャス(主人公)にはアイデンティティが生まれ、
その大切なものを必死に得ようと、
守ろうとする力強さには深く心を打たれた。

 徒花かと思われたその花は必死に耐えた。
見事に咲いた一輪の花。もう徒花ではない。
道が開けたのに。道が開けたのに。

HIV陽性が確認される。

あぁ、もう・・・

このどうしようもない虚脱感。
しかし、プレシャスは負けなかった。
その姿をぜひとも見てほしい。
彼女の姿をぜひ見てほしい。
世の中、品格やお金や、、、じゃない。
生きる姿が結局はすべてである。
その姿に、己が集約され、具現化されている。
感動の一作、一見の価値は大アリ。


PS ソーシャルワーカー役がマライア・キャリーで、
  ドクター役がレニー・クラヴィッツだったのだが、
  思いのほか、はまっててビックリでした。


予告編





2011年1月25日火曜日

♯237 白鳥(紀行)

 平内町、浅所海岸。
白鳥飛来地として、近辺では定着している場所です。
僕は青森に帰ってきて以来、
何年ぶりだろうか、この地を訪れてみました。
青森にいる時は、ほぼ毎年のように、
(小さいころから祖父に連れて行かれていたし)
来ていたが、本当に久しぶり。
 
 白鳥はまだいるのかな、
なんて少々の不安もよぎりましたが、
写真のとおり、無事居てくださいました。

 凛々しいその顔だちは、いつ見ても癒されます。
怖がりながら餌をあげた、幼き頃を思い出します。
優雅に泳ぐ白鳥。水でバシャバシャ、
羽を繕ってるようなその仕草もまた実に凛々しい。

 やはり、毎年見たい定番のこの景色であります。




























2011年1月23日日曜日

♯236 ソーシャルネットワーク(映画)




2010 アメリカ
監督 デヴィッド・フィンチャー
出演 ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド・・・


あらすじ
「2003年、ハーバード大学の学生
マーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、
学内で友人を増やすためのサイトを親友の
エドゥアルド・サヴェリン(アンドリュー・ガーフィールド)
と共に立ち上げる。サイトは瞬く間に学生たちの間に広がり、
ナップスター創設者ショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)
との出会いを経て、社会現象を巻き起こすほど巨大に成長していくが……。」



 日本で上映されて以来、
同じくソーシャルネットワーク上で話題になった
この作品、もちろん劇場に足を運びました。

 そう、この作品はソーシャルネットワーキングサービス
「Facebook」の創設からのドラマを、
脚色を加え、ヒューマンストーリーに仕立て上げたもの。

 「Facebookを知らない人が見ても楽しめる作品だ」
という記事を目にしたこともあり、
Facebookどころか、ネットにもほとんど精通していない
友人を連れて観に行った。

 その友人曰く「いやぁ、さっぱりわかんね」でした。
いくら脚色を加えたヒューマンストーリーとはいえ、
ちょっとは昨今のネット事情を知っている人の方が
やはりオススメできるといえましょう。

 「最年少の億万長者」になった彼(マーク)なのですが、
いわゆる「天才」であり、次々と彼は学内でのネットセキュリティーを
突破し、いたずらなサイトを作り、それが学内で話題を呼び、
彼の注目度があがり、そこから様々なFacebookまでの
ドラマが進んでいくわけですが、
もちろんサービスが広がるにつれてコストとなる
サーバー費用等が必要となり、つまりお金が必要と
なっていくわけで、彼の周りにどんどん人が増えていくわけですが、
人と人との折り合いというのは、やはりそうは簡単なものでは
ないようで、多くの問題が立ちはだかります。

 しかし、実際を見ると、その問題等は「Facebookの内部」で起きるが、
「マークの外」で起きている、というわけです。
つまり、マークの孤独、がなるほどジワっときてしまうわけで、
成功と比例してどんどん孤独になってしまうマークの姿の描写は、
上手くできているなぁといった印象でした。

 偏屈で早口で天才で、、、
一見歪んで見えるその彼を、ラストシーンでは、
見事に「あぁ、ヒューマンドラマだな」と思わせてくれたものです。
興味のある方はぜひ観てみてはいかがでしょう。

 いやぁ、それにしても、
アメリカの大学のパーティーなどのあの描写、
よく色んな作品で見かけますけど、
とことんあれにはいつもアメリカを感じます。
絶対無理ーー。


予告編

2011年1月14日金曜日

♯235 The Boom「REMIX MAN」(音楽)




1993年 日本


やべぇ久々の更新になってしまいました。
お久しぶりです。

ということで、今回は音楽で。
そして、The Boomです。

というかBoomのリミックス盤なのですが、
Mad Professor参加ということ、
ただそれだけの理由で購入。
といっても100円以下の数十円で。

ということで、論点はMad Professorだけに
偏ってしまうわけですが、すみません。

Boomの音をどういじるのか。
沖縄、をどれくらい残すのか。
そして、その結果どうかっこよく、落とし前をつけるのか。
ダブの鬼才の腕がためされるところでしょう。

そんなワクワクの中、聞いてみると・・・
Mad Professorのとった手段とは、
実に我々を驚愕させるとともに、
納得させられる結果となりました。

それは「Boomらしさを消し去る」
という手法でした。
Boom色を見事に消しました。
かのわかりやすいBoom色を完全に、消したのです。
そう、「普通にかっこいいダブ曲」に昇華していったわけです。

「18時」という曲で2パターンのリミックスが
用意されていたわけですが、
最初のパターンで完全にBoom色を消したダブ曲にし、
次のパターンで、より宇宙へと、スペーシーなダブへと、
もうBoomじゃなくなってるのが、
あぁ、Mad Professor・・・
と逆に納得させられる結果となったことは言うまでもありません。

他のリミックス曲もハウスものやなんやらと、
実に自由にやりたい放題で、
実は買って損はない、面白アルバムとなっております。
ぜひご購入してみては。


アマゾン試聴





2011年1月3日月曜日

♯234 あけましておめでとうございます(雑記)

 あけましておめでとうございます。
2011年になったんですねぇ。
僕はまだまだ正月気分でございます。
お正月、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
昨年はこんなブログにお付き合いいただきまして、
ありがとうございます。感謝です。
本年も何卒、不格好なブログではありますが、
様々な趣向を巡らせながら、頑張ってはいきたいと
思うのですが、ホント、どんどん色んな意見を頂ければ、
何かしら応えていこうとは思っておりますので、
2011年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

 さて、振り返れば2010年。
僕にとって非常に大きな1年になりました。
生活の拠点を東京から青森に移し、
実家の家業というか稼業というか、、、
仕事に対しての意識の変化が著しかったと言えます。

 とはいえ、音楽や本は、
相も変わらず買い続け、浪費生活は留まることを知らないわけですが、
さて、今年はどうなることやら、なわけです。

 新年度から給料が上がる!
という喜びに浮かれる自分がいるのか、
仕事への責任、立場への責任を強く持てる自分になっているのか。

 未来のことなんて誰にもわかりゃしません。
最低限の思いやりを持ち続け、
これからも生活していこう、
今年もこれに尽きますね。
そう、継続、ですね。ベタですが。

 1年単位の目標やらなんやらなんて、
本音を言えば、どうだって良いと思ってます。
長い人生、いかに自分自身に掲げるものを
「継続」できるか、です。

 みなさまのより一層の発展を願っております。
本年も僕そして本ブログ共々、よろしくどうぞ。